言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
フォーラム
ビジュアル・ナラティブの解釈の違いによる言語教師のビリーフの捉え直し
水戸 貴久鈴木 栄松﨑 真日
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 21 巻 p. 262-277

詳細
抄録

本フォーラムは,ビジュアル・ナラティブの解釈に複数の視点を持ち込むことで,言語教師のビリーフを捉え直すことを目的とした試行的な研究である。本稿では,大学1年生が「英語を勉強する私」というテーマで描いた同一のビジュアル・ナラティブを異なる言語を教える3人の教師が個別に分析し,その解釈を持ち寄り比較することで,各々の言語学習・教育に持つビリーフを相対化した。同一のビジュアル・ナラティブを分析しているにもかからわずその解釈が異なるのは,ロラン・バルトの言う,ビジュアルが持つ「コード化されないイコン的メッセージ」の解釈において,教師の持つビリーフの相違が反映されたためであると考えられる。教師のビリーフを捉えるための方法としては,すでに質問紙調査やインタビューによるナラティブ分析が知られているが,ビジュアル・ナラティブの分析における解釈のずれを肯定的に捉え,複数の解釈の異なりを比較する共同構築的な方法は,自身の内面に根差すビリーフを探る上で有用であると言える。このように,異なる言語を教える教師が解釈を語り合い,ビリーフを捉え直す方法は,教師研修やワークショップにおいても有効であると思われる。

著者関連情報
© © 2023 by Association for Language and Cultural Education
前の記事 次の記事
feedback
Top