日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
抗血小板薬による消化管病変
吉田 智治白石 慶
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2009 年 51 巻 12 号 p. 3051-3062

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抄録

高齢化につれて脳・心血管疾患を有する症例が増加している.脳・心血管疾患において抗血栓療法は大変重要であり,血管イベントの二次予防目的に抗血小板薬を投与されている症例も多い.なかでも頻用されている低用量アスピリンは,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸にいたる全消化管の粘膜傷害を引き起こす可能性がある.この消化管粘膜傷害は,出血や穿孔を合併し時に致命的となりうるため,適切な対策が急務である.
また,消化管出血に伴い,低用量アスピリンなどの抗血小板薬を休薬中に,重篤な血栓塞栓症を合併した症例も経験される.よって,迅速かつ適切な内視鏡的止血を達成し,早急に抗血小板薬を再開することが求められる.
この様な抗血小板薬と消化管傷害に関する情報は,消化器科医のみならず,抗血小板薬の処方医も共有し,各診療科が連携を取りつつ症例毎に適切な抗血小板薬の投与ならびに消化管病変の発生予防,発生時の対処を行うべきであると考えられた.

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© 2009 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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