日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
早期胃癌の内視鏡的治癒切除後に発症した過形成性ポリープに対してHelicobacter pylori除菌療法が奏効した1例
松井 文美青木 信也古土井 明石垣 尚志伊藤 博之國田 哲子中山 宏文嶋本 文雄
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2009 年 51 巻 2 号 p. 207-212

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抄録
症例は59歳男性.2001年7月ペプシノゲン法陽性を指摘され,9月近医にて上部消化管内視鏡を施行したところ,胃角部前壁に径1cm大の0I型腫瘍を認めた.生検結果はGroup IIIであり,内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)目的にて当院紹介受診となった.EMR後の病理結果は高分化管状腺癌であった.遺残を認めず治癒切除と判断した.EMR3カ月後よりEMR後瘢痕部に径7mm大の発赤した隆起を認め,2年後には径1.5cm大にまで増大した.生検結果は過形成性ポリープであった.Helicobacter pylori(以下Hp)抗体価を測定したところ188.3U/mlと高値であり,Hp陽性と診断した.ランソプラゾール60mg,アモキシシリン1,500mg,クラリスロマイシン400mgの7日間投与による除菌療法が奏効し,ポリープは著明に縮小した.今回われわれはEMR後瘢痕部に過形成性ポリープを発症し,除菌療法が著効した1例を経験したので報告する.
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© 2009 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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