日本消化器内視鏡学会雑誌
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51 巻, 2 号
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総説
  • 安田 貢, 青木 利佳, 鳥巣 隆資
    2009 年 51 巻 2 号 p. 181-193
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    経鼻内視鏡は,通常径の経口内視鏡検査よりも被検者の苦痛が少なく,検査中の循環動態や酸素飽和度が安定しており,検査の受容度と安全性を重視する胃がん検診に相応しいものであろう.しかし,挿入時の鼻腔痛や,画質と操作性が通常径内視鏡より劣るという欠点も有しており,診断精度の評価もまだ十分とは言えない.そのため,各施設の実情に即した適切なインフォームド・コンセントと適応の決定が重要であり,決め細やかな前処置と熟達した内視鏡専門医による時間をかけた丹念な観察が求められる.
    今後,経鼻内視鏡検査が内視鏡検診のという枠の中で定着するには,その診断精度が過去の内視鏡検診成績に遜色のないものであることを証明する必要がある.また,対策型検診として広く展開するには,多くの内視鏡専門医の養成と施設間格差の減少,厳格な精度管理が必須である.
    前処置の煩雑さやその他方法論の多様性の解決については,ガイドラインの作成が待たれるところであり,画質や操作性の問題点は各メーカーの今後の開発努力に期待する.
症例
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 田中 信治, 岡 志郎, 大庭 さやか, 金尾 浩幸, 平田 真由子, 茶山 一彰
    2009 年 51 巻 2 号 p. 244-255
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    径20mmを越えるLST(laterally spreading tumor)は分割EMR(endoscopic mucosal resection)になりやすいが,腺腫部分の分断は病理組織診断や根治性に影響を与えない.従って,腺腫性のLST-Gもしくは,癌部を分断しない腺腫内癌のLST-Gが分割EMRの適応である.そして,その適応決定および分割ラインの設定には拡大観察によるpit pattern診断が必須である.一方,ESD(endoscopic submucosal dissection)の適応は,内視鏡的一括切除が必要な病変のうち,スネアによる一括切除が困難なLST-NG,特にpseudo-depressed type,VI型pit patternを呈する病変,SM軽度浸潤癌,大きな陥凹型腫瘍,癌が疑われる大きな隆起性病変(全体が丈高の結節集簇病変LST-Gも含む)である.他に,biopsyや病変の蠕動によって粘膜下層に線維化を伴う粘膜内病変,潰瘍性大腸炎などの慢性炎症を背景としたsporadicな局在腫瘍,内視鏡的切除後の局所遺残早期癌も適応となる.ただし,線維化も高度になると大腸壁が薄い事もあり手技の難易度が極めて高くなる.実際の臨床の場では,病変の臨床病理学的特徴のみならず,内視鏡術者の技量,病変の局在,内視鏡操作性の良否,予測治療時間などに加えて,外科手術の選択も含め総合的に判断すべきである.
資料
  • 瓜田 純久, 土門 薫, 石原 晋, 名波 牧江, 柳澤 健人, 大久保 亮, 沢 友歌, 渡辺 利泰, 秋元 達雄, 加藤 博人, 原 規 ...
    2009 年 51 巻 2 号 p. 256-262
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景】十二指腸黄白色斑と吸収障害との関連を明らかにする.
    【方法】上部消化管内視鏡検査を施行した連続132例を対象とし,65例には13C-acetate,67例には13C-glucose 100mgを水20mLに溶解し,内視鏡を用いて十二指腸下行脚へ投与した.その後,経時的に呼気を採取した.
    【結果】13C-acetate投与後の呼気中13CO2 排出は,十二指腸黄白色斑の程度により差はなかった.13C-glucose投与では肥満群および十二指腸黄白色斑diffuse群で有意に呼気中13CO2 排出が低下した.
    【結論】安定同位体を用いたヒトでの検討では,十二指腸のびまん性黄白色斑とブドウ糖の吸収低下との関連が明らかとなった.
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