2009 年 51 巻 3 号 p. 362-367
大腸癌はそのほとんどが高分化型または中分化型腺癌で,粘液癌は少ない.粘液癌は,一般に進行が早く,予後不良で,早期に発見される症例はきわめてまれである.われわれは大腸の内視鏡的生検で発見されたS状結腸の早期粘液癌を経験したのでここに報告する.
病理組織学的所見と内視鏡所見との対比から,このような粘液を多く含む癌は白色に輝いて見えるのが特徴と考えられた.
ちなみに,文献上現在までに報告されている大腸早期粘液癌症例は7例に過ぎず,しかもそのすべてがSM癌でM癌は認められず,きわめて珍しい症例と考えられる.