抄録
2002年10月~2007年9月の5年間に施行した上部消化管内視鏡検査27,119例中,非静脈瘤性上部消化管出血で緊急上部消化管内視鏡を施行した260例を対象として,年齢層別に3群に分けて,患者背景,原因疾患,臨床因子,止血成績,予後につき比較検討した.高齢者ほど女性の比率が高く,原因疾患として,41歳以上では胃潰瘍,40歳以下では十二指腸潰瘍が多く認められた.出血性胃潰瘍の発生部位は胃角小彎,体上部後壁の頻度が高く,一次止血率,最終止血率,平均止血回数において,各群に差を認めなかった.止血法は,HSE法,HSE+Clip法,Clip法が多かった.内視鏡的止血困難例5例(1.9%)中,1例はIVR,1例は手術にて止血し得たが,3例は重篤な基礎疾患を有し,全身状態不良のため死亡した.65歳以上の高齢者においても,十分な全身管理下での内視鏡的止血術は,65歳未満と同様に安全で有用と考えられた.