抄録
内視鏡治療に伴う出血性合併症を予防するため抗凝固薬,抗血小板薬(抗血栓薬)の休薬が行われてきた.一方,休薬による血栓塞栓症のリスクが問題になり,欧米のガイドラインでは出血よりも休薬による血栓塞栓症の発症を防ぐことに重点が置かれている.本邦ではこれらの薬剤を使う側である循環器病や脳卒中学会のガイドラインと休薬する側の日本消化器内視鏡学会のガイドラインの整合性が取られていない.更に2005年に日本消化器内視鏡学会から出された血栓塞栓症予防に配慮された新しい指針が十分に普及していない現状がある.エビデンスを作ることが難しく世界中でエビデンスが不足しているが,抗血栓薬の休薬は安全な内視鏡治療には避けて通れない課題である.そこで,札幌市近郊で抗血栓薬を使用する科と消化器内科で“安全な抗血栓療法の休薬を考える会”を立ち上げ,休薬基準の“札幌コンセンサス”を作成した.このコンセンサスの内容を中心に治療内視鏡における抗血栓薬の休薬について概説した.