日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
大腸カプセル内視鏡検査の現状と課題
田尻 久雄
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2011 年 53 巻 9 号 p. 2988-2999

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抄録
欧州における大腸カプセル内視鏡検査(colon capsule endoscopy,CCE)に関する臨床試験のデータをもとに,CCEの現況と課題について概説する.
CCE関連の論文でエビデンスレベルの高い全11編によると,4段階尺度でCCEの腸管前処置状態が「優または良」,2段階尺度で「良好」であったと判断された割合は27-89% であったが,全体的には80% 前後の報告が多かった.またカプセルのバッテリー持続時間(約10時間)内での排泄率(全大腸検査完遂率)は75-94% であったが,排泄率のさらなる改善が求められる.
CCEによる6mm以上のポリープの診断能は,大腸内視鏡検査をgold standardとした場合,PillCam COLON1+2,PillCam COLON1単独,PillCam COLON2単独での感度,特異度がそれぞれ(63,83%),(58,85%),(86,71%)で,PillCam COLON2単独が圧倒的に良い結果が報告されている.
CCEの高い実用性,精度および安全性は大腸スクリーニングに適していると思われるが,今後大腸スクリーニングに特化したstudyを実施する必要がある.CCEの費用が問題となるが,検査に対する患者の指示遵守度の向上が得られるようであればCCEによるスクリーニングの費用対効果は高いと考えられる.
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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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