日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
資料
ステントの特徴に基づいた,中下部悪性胆道閉塞に対するcovered Wallstentの新しい挿入法による早期ステント関連偶発症の減少
中井 陽介伊佐山 浩通外川 修木暮 宏史辻野 武八木岡 浩八島 陽子佐々木 隆伊藤 由紀子松原 三郎平野 賢二笹平 直樹戸田 信夫多田 稔川邉 隆夫小俣 政男小池 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 54 巻 12 号 p. 3837-3845

詳細
抄録
【目的】われわれは悪性中下部胆管閉塞に対するcovered Wallstentの閉塞率が低い一方で,stent関連偶発症が多いことを報告した.今回ステントの特徴に基づいたcovered Wallstentの新しい挿入法の導入によりステント関連偶発症を減少することができるかを検討した.
【方法】悪性中下部胆管閉塞に対して2001年10月から2003年10月までに留置した69例と,その後,2003年12月から2007年1月までに新しい挿入法で留置した69例の計138例を対象とした.新しいステント挿入法として,主膵管への癌浸潤がない症例では乳頭切開を行うことにより膵炎を予防し,胆管のキンクとステント逸脱を防ぐ目的で,長いステントを,狭窄中央部にステント中央部が位置するように留置する方法を用いた.前向きに集積されたデータを後ろ向きに比較検討した.
【結果】Tumor ingrowthはいずれの群でも認めず,ステント閉塞率はGroup1で18.8%,Group2で23.2%であった.ステント関連偶発症の発症率は,Group1で39.1%,Group2で30.4%と有意差を認めなかったが,3カ月以内のステント関連偶発症は,Group1の22回から,Group2の13回に減少した.また,生存期間とステント開存期間については,2群で差を認めなかったが,Event free survivalの中央値は,Group1の125日からGroup2の268日へ延長を認めた(P=0.020).
【結論】われわれのcovered Wallstentの新しい留置法により,event free survivalの延長を認めた.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top