2023 年 28 巻 1 号 p. 109-116
本研究の目的はA大学で行われた2年次の老年看護学実習Ⅰ(2単位)で,新たな試みである分散型実習において学生の学びを明らかにするとともに,実習形態が臨地実習指導者の指導にどのような影響があったのか,明らかにすることである.対象となった学生は97人であり,学生の「1日の実習記録」から実習目標に沿った学習内容を分析した.その結果14のカテゴリーと61のサブカテゴリーが得られた.学生は長期間にわたる実習で季節を感じての高齢者の生活や,多職種連携・多職種協働の大切さに気づくことができた.
臨地実習指導者を対象とした調査結果では,分散型実習であることで学生の動きが把握しにくい,学生によって事前学習に差があるので指導に影響をおよぼした,日数を要するため受け入れが難しいなどの課題があげられた.課題の改善には臨地実習指導者と教員の連携が有効であり,実習日以外の学生の学習のあり方を検討することがあげられた.