抄録
自己免疫性膵炎の内視鏡診断の中心的役割を果たすのが内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による特徴的な主膵管不整狭細像の確認である.膵管狭細所見はびまん性,限局性のいずれの場合もあり,またスキップして存在することもある.膵病変が膵尾部に限局している場合には,途絶様所見を呈する頻度が高くなる.狭細所見以外には狭細部の分枝膵管描出の有無,尾側膵管の拡張の程度などが膵癌との鑑別に役立つ.胆管の硬化性変化,十二指腸乳頭部の腫大は比較的頻度が高く,ERCP時には注意を要する.超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNAB)による自己免疫性膵炎の診断能は良好とは言えないが,膵癌との鑑別にはきわめて有用な検査である.