抄録
症例は71歳女性,総胆管結石による閉塞性黄疸の診断で当院に紹介となり,ERCPにて胆道出血を認め,下部胆管に狭窄が疑われた.胆汁細胞診や生検では悪性所見を得られなかったが,胆道癌による胆道出血も否定できず,幽門輪温存膵頭十二指腸切除を行った.組織学的検索において腫瘍性病変は認めなかったが,乳頭部胆管に線維腺筋性の過形成変化と,膵頭部および胆嚢,肝外胆管の血管壁を主体にAA型のアミロイド沈着を伴う血管炎が確認された.以上の病理所見より,胆道出血は関節リウマチに起因した続発性アミロイドーシスによるものと診断した.