日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
大腸疾患のEUS診断
小林 清典迎 美幸横山 薫佐田 美和小泉 和三郎
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2013 年 55 巻 12 号 p. 3808-3820

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抄録

超音波内視鏡(EUS)は,消化管病変を垂直断層像として描出できることから,大腸疾患に対しても癌の深達度診断や粘膜下腫瘍(SMT)の質的診断などに活用されている.大腸で使用できるEUS機種には専用機と超音波プローブ(USP)があり,後者を主として用いる.USPの周波数は,12MHzや20MHzなどがあり,検査の目的や病変の肉眼形態などにより選択する.なおUSPには3次元表示が可能な機種もある.EUS検査前には,十分な腸管前処置が必要である.EUS走査は主として脱気水充満法で行い,正常大腸壁は基本的には5層構造として描出される.EUSにより大腸癌の深達度は,腫瘍により壁層構造の破壊を認める最深層で診断する.またSMTは,EUS所見での腫瘍の局在層や内部エコーに着目して診断を行う.大腸疾患のEUS診断において最も重要なことは,病変を垂直方向から走査することである.しかし病変の存在部位や高さなどによっては,明瞭な断層像が得られない場合がある.適切なEUS機種の選択とともに,検査法の工夫が必要である.

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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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