抄録
頭部に皮膚腫瘍を認めた68歳男性.CT検査にて縦隔と肺門のリンパ節腫大,多発する肺結節,肝腫瘍を認め,上部消化管内視鏡検査にて咽頭・食道・胃・十二指腸に様々な形態を示す多発性の黒色調病変を認めた.生検にて悪性黒色腫と診断した.その後急速に全身状態が悪化し,初診から3週間後に永眠された.剖検の結果,両側肺門,縦隔リンパ節,両側鎖骨上リンパ節,右鎖骨下筋肉内,右第5肋骨,心臓,肺,胸膜,食道,胃,十二指腸,空腸,回腸,肝臓,膵臓,腎臓副腎,膀胱,および骨髄に転移を認めた.悪性黒色腫の消化管転移が生前に診断されることは少なく,また本例は食道・胃・十二指腸と複数の臓器における転移巣が小病変の状態で内視鏡観察できたきわめて稀な症例である.