抄録
【目的】肝門部胆道狭窄に対して,片葉ドレナージか両葉ドレナージのいずれを選択すべきか統一的な見解はない.そこで,片葉と両葉のどちらが優れているか検討を行った.
【方法】肝門部狭窄に金属ステント留置を行った82人を,片葉留置群と両葉留置群に分けて後ろ向きに検討した.
【結果】生存期間,ステント開存期間,合併症なく生存した無合併症生存期間は両群で差はなかった.最も高頻度な合併症は閉塞で,次は胆管炎であった.肝膿瘍は片葉留置群(1.5%)に比べ両葉留置群(17.6%)で有意に多く認めた(P=0.0266).2回以上の繰り返す合併症(P=0.247),致死的な合併症(P=0.0577),ステント閉塞(P=0.0912)では,両群に差を認めなかった.
【結論】片葉留置群のステント開存期間,無合併症生存期間は両葉留置群と同等であり,肝膿瘍は有意に低率であった.肝門部胆道狭窄には,まず片葉ドレナージを行い,両葉ドレナージは対側の胆管炎を生じた場合に追加で行うのが良い.