抄録
大腸癌の前病変としては,まず腺腫(adenoma)があげられ,腺腫はadenoma-carcinoma sequenceにより癌に進展する.次いで,traditional serrated adenoma(TSA)やsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)などの鋸歯状ポリープがあげられ,これらの病変はserrated pathwayにより癌に進展する.腺腫,TSA, SSA/Pの担癌率はいずれも約10%であり,同程度の発癌ポテンシャルを有すると考えられる.また,Peutz-Jeghers症候群や若年性大腸ポリポージスなどの過誤腫性ポリープも低頻度ながら癌化しうる前癌病変と考えられている.特殊型として,潰瘍性大腸炎のdysplasiaがあげられ,炎症を背景に癌(colitic cancer)に進展する.その他に,メチレンブルーに濃染する異常腺管であるaberrant crypt foci(ACF)が前癌病変の一つであるとする説が提案されているが,異論もありまだ十分には解明されていない.