抄録
異時性に内分泌細胞癌小細胞型と扁平上皮癌の多発を認めた稀な食道癌の1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.嚥下時つかえ感を主訴に施行した内視鏡検査で胸部食道に2型腫瘍を認め,生検で内分泌細胞癌小細胞型と診断された.CTでは気管膜様部浸潤,リンパ節転移などを認め,cStage IVa(T4N3M0)と診断され,肺小細胞癌に準じてCDDP,CPT-11による化学療法と放射線療法を併用した.化学療法計11コース終了後,CT,内視鏡検査では腫瘍,リンパ節腫脹が消失し,完全奏効であったが,腹部食道に表面隆起型扁平上皮癌を認め,内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した(moderately to poorly differentiated squamous cell carcinoma,pT1a(MM),ly0,v0,pHM0,pVM0).内分泌細胞癌の診断から現在まで,3.5年間無再発生存中である.