2014 年 56 巻 3 号 p. 443-450
【背景・目的】近年,経鼻内視鏡を用いた胃瘻造設(Percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)が報告され安全で有用とされる.Introducer変法(I法),Pull法などの報告があるが,どの方法がより安全なのかは不明である.【方法】経鼻内視鏡を用いたI法(24Fr)と経鼻内視鏡による24Frボタンを用いたPull法(P法)でその安全性を無作為連続前向きに比較した.気腹,出血,瘻孔感染の頻度を主要アウトカムとした.【結果】対象はPEG適応患者99例(I法:49例,P法:50例)で全例胃壁固定下胃瘻造設は成功した.両法の患者背景と出血,瘻孔感染の頻度に有意差はなかった.気腹の頻度はI法で有意に高かった.I法で高度気腹による腹圧上昇から逆流,誤嚥を来し死亡した例を1例認めた.【結論】経鼻内視鏡を用いたPEGでは気腹の頻度はI法で有意に高く,選択の際には基礎疾患に留意すべきかもしれない.