2014 年 56 巻 3 号 p. 451-456
症例は57歳男性,食道静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法(EIS)を施行したが,その際の止血に難渋した.凝固能の低下,プロトロンビン時間(PT),ヘパプラスチンテスト(HpT)の解離,第V因子の著明な低下,第V因子インヒビターの上昇などを認め,後天性第V因子欠損症と診断した.診断時には出血症状を認めておらず,慎重に経過観察をしたところ,自然経過にて凝固能は改善と第V因子インヒビター力価の低下を認めた.内視鏡治療により生じた後天性第V因子欠損症は非常に稀であり,報告する.