抄録
症例は47歳,男性.上部消化管内視鏡検査で胃体中部大彎にやや白色調陥凹性病変を認めた.Narrow band imaging(NBI)併用拡大観察所見では,腫瘍表面はやや大小不同ではあるものの,比較的均一な乳頭顆粒状構造を認め,窩間部の微小血管もほぼ均一なloop patternを呈していた.背景胃粘膜に萎縮は認めず,血清ペプシノゲン法でも胃粘膜の萎縮がないことが示唆され,Helicobacter pyloriは陰性であった.病変部からの生検結果よりSM浸潤した高分化型早期胃癌と診断し,幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的所見では細胞異型の弱い高分化型腺癌を認め,粘液組織学的検討では胃型粘液形質を有し,ペプシノゲン-I陽性で,胃底腺型胃癌と診断した.