抄録
症例は57歳女性.健康診断の上部消化管内視鏡検査で胃粘膜生検を受けた翌日に多量の吐血を来し出血性ショックとなり当院救急外来に搬送となった.緊急内視鏡検査では胃体上部大彎より噴出性出血を認め,クリップ法で止血を行い救命し得た.内視鏡所見では胃体上部大彎に蔓状に蛇行した異常血管網を認めた.患者は45歳時に眼底所見,皮膚生検から弾性線維性仮性黄色腫(pseudoxanthoma elasticum;PXE)と診断されており,入院後に行った遺伝子解析では原因遺伝子であるABCC6遺伝子に変異を認めた.PXEでは合併症として時に重篤な消化管出血を起こすことがあり,死亡例の報告もあることから内視鏡検査時には細心の注意を払う必要がある.本症例が遺伝子変異を同定し得た消化管出血合併PXEの本邦初の報告と思われ,文献的考察を加えて報告する.