日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
逆流性食道炎の診断を正確に行うコツ
春日井 邦夫小笠原 尚高舟木 康佐々木 誠人
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2014 年 56 巻 5 号 p. 1804-1812

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抄録

逆流性食道炎の内視鏡分類としてロサンゼルス分類が世界的に広く用いられている.この分類はmucosal break(粘膜傷害)を基軸としてその長さや広がりでGrade分類している.一方,わが国では,欧米でminimal changeと呼ばれる粘膜の白濁,肥厚,発赤などの色調変化を認めるGrade Mと内視鏡的に変化を認めないGrade NをLA分類に加えた改訂LA分類が用いられている.内視鏡検査でこれらの所見を正確に診断するためには,深吸気により下部食道を十分に伸展させ,扁平上皮円柱上皮境界を全周性に同定し,mucosal breakの有無,わずかな発赤や白濁などを詳細に観察することが重要である.限局性の粘膜傷害は近接で観察することにより,びらんと発赤や白苔と扁平上皮の鑑別が可能となる.さらに,可能であればNBIなどによる画像強調内視鏡観察を行うことで扁平上皮と円柱上皮が明瞭に区別され,食道下部の柵状血管の同定も容易になるため,Barrett粘膜の診断にも有用である.特にminimal changeの正確な診断のためには,判定基準の統一や内視鏡診断に対するトレーニングが必要不可欠であろう.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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