2014 年 56 巻 6 号 p. 1980-1985
症例は62歳,男性.B型慢性肝炎にて内服治療中に腹痛を自覚し,腹部CTにて上腸間膜静脈血栓症と診断した.保存的に抗凝固,血栓溶解療法を施行し血栓症は改善したが,発症75日後に小腸狭窄による腸閉塞をきたした.腹部CTにて空腸に限局する長さ2cm程度の狭窄を認めたため,小腸シングルバルーン内視鏡にて狭窄部を観察し,内視鏡的バルーン拡張術を施行した.その後は1年以上狭窄症状なく経過している.上腸間膜静脈血栓症に対する保存的治療後に合併した小腸狭窄に対して内視鏡的な観察及びバルーン拡張術を施行した例は非常に稀であり,貴重な症例と考えられる.