抄録
【背景】出血高危険度手技である内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)において,2012年改訂のガイドラインで推奨している抗血小板薬継続下での処置安全性についての本邦からの報告は認めない.そこで抗血小板薬内服継続下でのESTの出血性偶発症について検討した.【方法】対象は2010年10月から2013年2月に施行したERCP863例中,ESTを行った312例とした.血栓塞栓症高リスク例ではアスピリン(ASA)またはシロスタゾール(CLZ)は継続とした.抗血栓薬の非内服群,休薬群,継続群はそれぞれ238例,45例,29例であった.これらの3群間での出血性偶発症について検討した.【結果】出血性偶発症の頻度は非内服群,休薬群,継続群で,術中出血は16例,3例,2例,術後出血は6例,2例,0例であり,3群間に有意差を認めなかった.術後出血の危険因子としてヘパリン置換,肝硬変症例が独立した因子であった.【結論】ASAやCLZ単剤であれば,内服継続例においてもESTは安全に施行可能と考えられた.