抄録
症例は57歳,男性.スクリーニングの上部消化管内視鏡検査で,食道胃接合部の腫瘍を指摘された.腫瘍は食道胃接合部に位置する20mm大の0-IIa+IIcで,背景にバレット上皮を有していた.病変の口側3分の2は発赤調の扁平隆起で,生検では高分化腺癌が検出されたが,肛門側3分の1は正常の腺窩上皮に覆われており,生検でも癌は検出されなかった.以上の所見から同部位で粘膜下層浸潤があると判断し,術前診断cT1b(SM),cN0,cM0,cStageIの診断で開腹胃全摘,経食道裂孔下部食道切除術,D1リンパ節郭清を行った.病理診断は中分化バレット食道腺癌pT1b(SM1:50μm),N0,M0で,術前に粘膜下浸潤と判断した病変肛側3分の1は胃粘膜上皮の過形成であった.過形成性腫瘤から発生したバレット腺癌と考えられた.