日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
国立病院機構 西埼玉中央病院
責任者:二上敏樹  〒359-1151 埼玉県所沢市若狭2-1671
二上 敏樹
著者情報
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2016 年 58 巻 10 号 p. 2235-2237

詳細

概要

沿革・特徴など

当院は昭和48年,国立所沢病院と国立豊岡病院の統合に伴い,国立西埼玉中央病院として発足している.平成16年,独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院となった.平成22年には新病棟が完成した.病床数は325床.周辺医療機関と連携し,埼玉県南西部地域の医療を担う総合病院である.また,がん診療や成育医療などの政策医療を行う施設としても位置づけられている.平成24年からは埼玉県より地域医療支援病院の承認を受けている.

組織

内視鏡室は外来の一部門として運営されている.看護師・技師は外来部門の所属である.消化器科と外科の医師が,診断・治療に携わっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

外来棟2階に位置し,総面積は121.48m2である.受付,検査室,リカバリースペース(ストレッチャー3台),トイレ,更衣室,洗浄スペース,機材庫,診察室などで構成されている.

・スペースの広くない内視鏡室であるが,その分,患者の状態や検査状況にスタッフの目が行き届きやすいという利点がある.

・検査室は壁で仕切られた2室.上・下部消化器内視鏡検査および治療に用いている.ERCPなど透視を必要とする検査や治療は,外来棟1階のX線TV室で行っている.

・基本的に,上部消化器内視鏡は午前,下部消化器内視鏡は午後に施行している.

・上部消化器内視鏡検査は経口で行っている.鎮静薬については希望しない被検者以外は投与するようにしている.

・下部消化器内視鏡検査は通常,鎮痛薬と鎮静薬を用いて施行している.

・超高齢者やperformance status不良な症例に関する近隣医療機関・施設からの依頼に対応している.

スタッフ

(2016年4月現在)

医   師:指導医1名,専門医3名,その他スタッフ5名,研修医など4名

内視鏡技師:Ⅰ種1名

看 護 師:常勤4名,非常勤2名

設備・備品

(2016年4月現在)

 

 

実績

(2015年4月~2016年3月)

 

 

指導体制,指導方針

初期臨床研修医は消化器科および外科をそれぞれ約1~2カ月間,ローテートする.消化器内視鏡検査・治療の適応と合併症について指導を受けたうえで,担当する症例を中心に上級医の施行する検査と治療に立ち会い,その内容について理解を深めることを研修の目標とする.

後期研修医は大学からの派遣医師であり,勤務期間は原則1年間である.大学で消化器内視鏡の研修を受けた後に当院へ赴任することが多いとはいえ,習熟度はさまざまである.まずは上級医立ち会いのもと,上部消化管内視鏡のルーチン検査に携わる.なお,後期研修医の内視鏡検査・処置に際しては,必ず上級医がついて指導を行うこととしている.

上部消化管内視鏡検査において,スコープ挿入・観察と撮影法の習得につとめ,症例数を積んでゆく.組織生検操作は確実に行えることを目指す.ルーチン検査を安定して施行できるようになれば,消化管出血などに対する治療内視鏡を開始する.

下部消化管内視鏡の研修は,上級医による手技の見学とコロンモデルによるトレーニングから始める.上部消化管内視鏡のスコープ挿入から検査終了までを一定の時間でスムーズに行うことができる者から,実際の下部消化管内視鏡検査でのスコープ操作に移る.盲腸まで挿入されたスコープを抜去しながらの観察を経験した後に,大腸へのスコープ挿入を開始する.10~15分以内で盲腸に到達しない場合は上級医に交代する.被検者に疼痛が生じた場合なども上級医の判断で交代とする.挿入につづいて,通常観察・色素撒布をしての観察を行う.組織生検操作を開始する.以後,症例経験を重ねてゆく.

内視鏡所見の表現とその診断に関しては,上級医へのコンサルトおよび各種専門書による自己学習や,カンファレンスを通して習得していく.また,生検組織所見については内視鏡所見との対比を行うようにする.

膵胆道系内視鏡検査・治療の際には,手技や介助の実際を見学し,のちに助手として処置に加わる.助手業務を経験し,処置の流れを理解したうえで,かつ上部消化管内視鏡のスコープ操作が問題なく行える者は,側視鏡の挿入を開始する.その後は,技量に応じて,選択的挿管へと進んでゆく.

全般を通して,内視鏡検査・治療の適応と禁忌の理解,インフォームド・コンセントの重要性,偶発症の知識と対応,などについては,上級医ともども常に意識を高めていくようにしたい.

現状の問題点と今後

・受付業務や事務作業を含めて看護師が行うため,検査・治療の状況によっては,コメディカルスタッフの人員不足を感じることがある.経験豊富な看護師の尽力によって,不足な部分はカバーされている.

・毎年,後期研修医の異動時期には,新任医師が業務に慣れるまで上級医のサポートが必要となるので,安全確保を優先して通常検査の件数は抑えることにしている.

・セデーションを使用する被検者(大部分を占める)に関しては,車を運転しての来院をお断りしている.しかし,当院は近隣の駅から徒歩で来院するには遠く,バス便も少ないため,アクセスが良くない.内視鏡件数が近年ある程度で頭打ちとなっているのは,このことが要因かもしれない.

・下部消化管内視鏡検査の前処置(朝の下剤服用)は来院前にお願いしているが,高齢者やperformance statusの良くない被検者については,来院後に院内で前処置を始める方が望ましい場合もある.ただし,当内視鏡室には前処置用のスペースがないため,外来処置室の一部を借りて行う,もしくは検査入院とするしかない.

・膵胆道系内視鏡検査および治療は,内視鏡室と別エリアのX線TV室で施行している.TV室は,透視を要する他の処置でも使用していて,他診療科とも共同利用している関係から,時間の制約が生ずる.

・ESDは,医師人員と設備・備品の充実を待ってから,胃病変に限定して比較的最近開始したために,まだ件数が少ない.安全を心がけながら,着実に実績を積み重ねていきたい.

・今春,上下部ともに拡大内視鏡を常備することができた.これを診断に生かし,消化管内視鏡治療数の増加につなげていくよう努める.

近隣医療機関と緊密に連携しながら,ご紹介いただいた症例を丁寧に診療し,地域からの信頼が得られるよう心がけていきたい.

 
© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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