日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
みやぎ県南中核病院
責任者:佐藤晃彦(消化器病センター長)  〒989-1253 宮城県柴田郡大河原町字西38番地1
佐藤 晃彦
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2016 年 58 巻 11 号 p. 2335-2337

詳細

概要

沿革・特徴など

当院は,宮城県南地域の1市3町(大河原町,柴田町,村田町,角田市)が運営する自治体病院として2002年(平成14年)8月1日に新規開業した.10年目の2012年(平成24年)運営形態が地方公営企業法の一部適用から全適用へと移行したのに伴い,組織名称が「みやぎ県南中核病院企業団」と改称された.2013年(平成25年)には救命救急センターと腫瘍センターが開設され,2015年(平成27年)緩和ケア病棟開棟,2016年(平成28年)4月には地域がん診療連携拠点病院の指定を受けた.開院時より地域完結型医療のセンター病院として2次・3次救急医療に積極的に取り組み,現在,一般病床310床,消化器内科を含めた31診療科が稼働している.

組織

内視鏡室は,当初は診療部に属していたが,2009年(平成21年)4月に消化器内科,外科との3部門を統括する目的に新設された消化器病センターの所属となった.内視鏡室専属医師はおらず,センター長のもと,消化器内科,腫瘍内科,呼吸器内科の医師が業務に携わっている.看護師・技師は内視鏡室専属の業務を行っているが,所属は外来部門である.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

外来部門1階に位置し,総面積354.21m2で,受付,上部・下部別々の待合前処置室,検査室(上部4室,下部2室),洗浄室,医師室が配置されている.ERCPや小腸内視鏡などの透視を必要とする検査処置は,廊下を隔てた放射線部X線TV室を使用している.内視鏡室ユニットにリカバリー室はないが,必要時は隣接する外来中央処置室で対応している.上部検査の鎮痙剤にはl-メントール内用散布液を使用している.通常検査時の鎮静剤は希望者のみに使用し,主にジアゼパン静注を行っている.

スタッフ

(2016年4月現在)

医   師:指導医3名,専門医1名,研修医など3名

内視鏡技師:Ⅰ種3名,Ⅱ種1名

看 護 師:常勤5名

事 務 職:2名

そ の 他:3名

設備・備品

(2016年4月現在)

 

 

実績

(2015年4月~2016年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

初期研修医は1学年8名で,1年目に最低2カ月間の消化器内科研修が必須のプログラムとなっており,2年目には希望により2~9カ月の追加研修が可能である.消化器疾患全般の症例経験,基本的内視鏡手技の習得を目標としており,指導医とともに上部検査を経験する.

3年目以降の後期専攻医には,的確な内視鏡診断,診断に基づく治療方針決定,内視鏡治療の技術習得を目標として育成を行っている.通常の上部,下部検査に加え,ERCP研修を開始するとともに,止血術やポリペクトミー・EMR治療を経験する.研修4年目以降は,ESDやERCP関連治療を含め,ひろく治療内視鏡技術を習得できるよう指導している.

各種検査・治療には複数の医師が携わり,互いに手技をチェックしながら診断能や技術の向上,安全な遂行を目指している.科内では,毎日のカンファレンスとフィルムレビュー,週1回の病棟全症例検討や外科・腫瘍内科との合同カンファレンス,キャンサーボードを行い,個々の症例を詳しく検討してフィードバックしている.

現状の問題点と今後

着実に実績を重ねており,ここ数年の内視鏡件数は開院以来最高を毎年更新している.スタッフ医師4名はいずれも学会専門医以上の資格を有し臨床経験も豊富であるが,内視鏡業務以外にも肝腫瘍インターベンション治療や消化器全般の診療にも携わっており,年々増加する検査治療件数や外来・入院患者数を鑑みると,現体制での対応は限界に近い.業務実態に見合った医師数の確保が急務である.また,看護師も病院全体として慢性的に不足しているため,専属スタッフを十分に確保できないばかりでなく,内視鏡技師有資格者を他職場に配置せざるを得ない状況にある.貴重な医療資源を有効に活用できていないことは大変残念である.後期専攻医については,近く予定される内科専門医制度の変更に伴い,従来のような専門単科研修が難しくなるため,内視鏡教育においても研修プログラムや指導方針の大幅な見直しが迫られている.

最近,近隣医療機関において消化器内科医の休退職により従来の内視鏡サービスを提供できなくなった.このため,当院への実地医家からの紹介や消化器疾患緊急搬送が今後さらに増加するものと見込まれる.さらに業務の効率化を図るとともに,地域連携強化,医療圏内の役割再編,ネットワーク化などに取り組んでいく必要がある.

 
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