日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
腹部造影CTにより診断され,内視鏡的に止血し得た小腸憩室出血の1例
新関 修齋藤 衆子内田 宅郎山下 勉福地 聡士室 豊吉村上 和成
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2016 年 58 巻 4 号 p. 970-975

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抄録
症例は69歳男性,血便を主訴に当院救急外来を受診した.多量の血便のためショックバイタルとなり,Hb7.9g/dlと貧血を認めた.輸血を行いながら下部消化管内視鏡検査を実施したが,全結腸及び回腸末端に多量に血液が貯留しており出血点を同定できなかった.腹部造影CT検査を行い,回腸末端の憩室から造影剤の血管外漏出を認めた.大腸内視鏡でのアプローチが可能と判断し再検査を実施,バウヒン弁から口側約10cmに位置する憩室から拍動性出血を認めた.クリッピングにより止血され,再出血なく経過した.小腸憩室出血の診断に腹部造影CTが有用であり,出血点の同定が可能であれば内視鏡的止血術が治療の選択肢として考慮される.
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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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