日本消化器内視鏡学会雑誌
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日本における抗血栓薬継続下での内視鏡生検後出血リスクに関する前向き検討
荒 誠之飯島 克則前嶋 隆平近藤 穣日下 玄八田 和久宇野 要浅野 直喜小池 智幸今谷 晃下瀬川 徹
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2016 年 58 巻 8 号 p. 1367-1374

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抄録

目的:日本では抗血栓薬服用者に対する内視鏡診療ガイドラインの改訂後,抗血栓薬継続下での内視鏡生検が可能になった.しかしながら,内視鏡生検後の出血症例が非常にまれであるため,抗血栓薬継続または休薬下での生検後出血のリスクは未だにはっきりしていない.そのため,今回の前向き検討は抗血栓薬継続下での上部消化管内視鏡生検後の出血リスクを評価することを目的とした.
方法:2011年12月から2014年3月までに上部消化管内視鏡検査にて生検を施行された患者を前向きに検討した.エントリー時に抗血栓薬の継続・休薬状況をチェックし,生検後1カ月以内に外来受診もしくは電話にて出血イベントの有無を確認した.
結果:内視鏡生検を施行した3,758例の中で,394例(10.5%)が抗血栓薬服用者であり,そのうち286例(抗血栓薬服用者の72.6%)が抗血栓薬継続者だった.生検後に出血をきたした症例は6例(0.16%,95%信頼区間;0.09%~0.22%)だったが,抗血栓薬継続者は1例のみだった.生検後出血率は抗血栓薬継続群においても他の群と比較して有意な上昇は認めなかった(0.35% vs 0.14%,P=0.38).
結語:今回の前向き検討において,抗血栓薬継続下でも上部消化管内視鏡生検後の出血リスクは上昇しないことが示された.
(UMIN000014369)

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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