日本消化器内視鏡学会雑誌
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従来の胃内視鏡と比較した胃病変検出における磁気制御カプセル内視鏡の精度
加藤 元嗣
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2017 年 59 巻 1 号 p. 123

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抄録

【背景】胃癌や胃潰瘍を含む胃疾患は,消化管の中で最も頻度が高い.現在使用されている受動式カプセル内視鏡では,胃内腔は広いため胃全体を観察することは不可能である.磁気制御カプセル内視鏡システムは胃観察を目的に開発された.従来の胃内視鏡検査と磁気制御カプセル内視鏡による胃局所病変検出の一致率を前向きに検討した.

【方法】2014年8月から12月にかけて中国の中心施設で上腹部症状のために胃内視鏡検査が予定された350名の患者(平均年齢46.6歳)を対象として,磁気制御カプセル内視鏡と従来の胃内視鏡検査を比較する多施設共同の盲検試験が行われた.鎮静なしで通常の胃内視鏡検査の2時間後にカプセル内視鏡が全例に施行された.胃内視鏡検査をゴールドスタンダードとして,磁気制御カプセル内視鏡による胃局所病変の検出の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率を算出した.

【結果】磁気制御カプセル内視鏡による胃全体の局所病変の感度が90.4%(95%信頼区間(CI):84.7-96.1%),特異度が94.7%(95%CI:91.9-97.5%),陽性的中率が87.9%(95%CI:81.7-94.0%),陰性的中率が95.9%(95%CI:93.4-98.4%),一致率が93.4%(95%CI:90.8-96.0%)であった.胃上部(噴門部,穹窿部,体部)の病変に対して,磁気制御カプセル内視鏡の検出は感度が90.2%(95%信頼区間(CI):82.0-98.4%),特異度が96.7%(95%CI:94.4-98.9%)で,胃下部(胃角,前庭部,幽門)の病変に対しての検出は,感度が90.6%(95%信頼区間(CI):82.7-98.4%),特異度が97.9%(95%CI:96.1-99.7%)であった.磁気制御カプセル内視鏡で進行癌1例,悪性リンパ腫2例,早期癌1例を検出し,腫瘍や大きな潰瘍など重要な病変はいずれも見逃すことはなかった.350症例のうち,5例に9個(1.4%)の副作用が報告されたが,335例(95.7%)は胃内視鏡よりカプセル内視鏡を好んだ.

【結語】磁気制御カプセル内視鏡は従来の胃内視鏡検査と同等な精度で,胃上部および胃下部の局所病変を検出する.ほとんどの患者から従来の胃内視鏡検査と比べ,磁気制御カプセル内視鏡は好まれ,鎮静なしに胃病変のスクリーニングとして用いることができる.

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© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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