日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
広島赤十字・原爆病院
責任者:岡信秀治  〒730-8619 広島県広島市中区千田町1丁目9番6号
岡信 秀治
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2017 年 59 巻 11 号 p. 2654-2657

詳細

概要

沿革・特徴など

当院の前身である日本赤十字社広島支部病院は昭和14年に設立された.昭和20年8月6日の原子爆弾投下において当院も甚大な被害を受けたが,その極限の状況下にも関わらず当時の職員達による懸命な被爆者医療が行われた.昭和31年には,世界で初の原爆被爆者医療の専門病院である広島原爆病院が敷地内に併設され,昭和63年の改築を期にこれら二つの病院を統合し,広島赤十字・原爆病院と名称を変え現在に至っている.

平成27年9月から新病棟建設と既存病棟の改修,解体工事が進んでおり,平成29年9月末で全工事が完了する予定となっている.完成後の病床数は565床で診療科数は30を数え,地域の中核病院として地域医療支援病院,地域がん診療連携拠点病院,災害拠点病院等に指定されている.人道・博愛の赤十字精神のもと,人々に愛され信頼される病院を目指し,質の高い医療を提供できるよう日々努めている.

組織

平成28年5月より内視鏡センターとして独立しているが,専任スタッフはおらず,消化器内科と総合内科,健診部の医師が内視鏡診療を行っている.内視鏡看護師,洗浄員,事務員は外来部門所属となっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

当院内視鏡室は平成27年9月からの病院建て替え工事に伴い,平成28年5月に内視鏡センターとして旧棟3階に移転し,総床面積654m2と大幅に拡張・リニューアルした.内視鏡検査室8室(オリンパス社製4台,フジフイルム社製4台),内視鏡洗浄機8台,患者用トイレ8台を設置し,患者さんのプライバシーに配慮して各検査室を個室化,患者待合室も上部用・下部用と別々のスペースとし広く清潔で快適な空間となった.鎮静剤使用後などに必要な専用リカバリー室をもうけ8ベッド確保し,すべての検査台をストレッチャーとしたことで,鎮静後のリカバリー室への移動などそのまま移動することが可能となった.また,新棟1階にERCPや食道静脈瘤治療,シングルバルーン小腸内視鏡を行う広さ72m2の消化器内視鏡専用の透視室を救急部門に設置し,内視鏡システム1台と洗浄機1台を常設している.透視室での検査は内視鏡および透視の動画を全例録画しており,内視鏡センターでも録画できる体制となっている.CO2送気装置を全検査室に配備し,ESD・EMRなどの処置時や大腸内視鏡検査時,透視台でのERCPなどの検査・処置時に使用し,患者さんの身体負荷の軽減をはかっている.画像管理は電子カルテ連動のNEXUSデジタル画像ファイリングシステムを平成4年より使用し,画像情報および実施情報,洗浄履歴などを管理している.ほかに,カプセル内視鏡システムもセンター内で管理している.

スタッフ

(2017年4月現在)

医   師:指導医5名,専門医7名,その他スタッフ6名,研修医1~2名

内視鏡技師:Ⅱ種3名

看 護 師:常勤12名(Ⅱ種3名含む)

事 務 職:3名

設備・備品

(2017年4月現在)

 

 

実績

(2016年4月~2017年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は「臨床研修病院」であり,初期研修医が各学年10名程度研修している.当科にはほぼすべての研修医が1-2カ月の期間でローテーションしており,消化管,胆膵領域および肝臓疾患を含めた消化器一般の診断・治療,救急対応について上級医が指導している.

内視鏡手技に関しては期間が短く実践的な実技研修をする時間は少ないが,初期研修1年目は検査の見学・生検の介助から始めて,止血術,ESD・EMR,ERCP,イレウス管など様々な内視鏡処置の見学や介助を担当している.初期研修医2年目はトレーニングモデルによる練習や,特に消化器希望者には技量に応じて鎮静下などリスクの少ない患者を中心に,指導医の監督下に上部消化管内視鏡検査の抜去時観察から開始している.3年目以降の後期研修医(レジデント)は早期の上部消化管内視鏡検査の習得を目標とし,指導医の監督下に適切な内視鏡操作や正確な生検,所見の記載などを一緒に行う.次に下部消化管内視鏡検査を時間制限15分程度で始め,症例により適宜上級医と交代しながら手技の習得を目指している.下部消化管内視鏡検査ができるようになった頃ERCPを開始している.以後,各々の技量により,止血術やEMR,イレウス管挿入などの処置や治療をリスクの少ない症例から開始し,最終的には上部ESDやERCP下での処置ができるようになることを目標としている.毎週行う内視鏡カンファレンスで指導医と伴に内視鏡所見や病理診断を確認し,翌週のESD症例についてディスカッションし治療方針を決定している.

また,当院は「地域がん診療連携拠点病院」であり,消化管・胆膵領域の腫瘍に対しての診断・治療を積極的に行っている.食道・胃・大腸の腫瘍には,拡大内視鏡や超音波内視鏡を用いて診断後ESD・EMRを行っており,年々症例数は増加している.最近では,閉塞性大腸癌に対してのステント挿入術も積極的に行っている.胆膵系の腫瘍にはEUS-FNAやIDUSを積極的に行い,悪性狭窄に対するステント留置や化学療法なども行っている.術後腸管に対するERCPには,シングルバルーン内視鏡を用いて対応している.また,当院の特徴として,血液疾患や透析患者など重篤な併存症を有したハイリスク症例が多いが,そのような症例に対しても積極的に内視鏡治療を行っている.

現状の問題点と今後

現在,年間11,000件を超える内視鏡検査を行っており,今後さらに増加が予想される.当内視鏡センターの特徴として,当院人間ドックの内視鏡による胃癌検診も行っており,こちらも年々件数が増加している.今回の建て替え・移動に伴いドックの胃透視検査台が減ったことより,1日当たりのドック内視鏡件数を増やし年間4,000件越えとなっている.経鼻内視鏡検査や鎮静の需要が高く,多様なニーズへの対応も不可欠となっている.また,上部消化管内視鏡検査件数が多いため,予定外の追加検査に支障をきたすことがある.特に午前中の緊急内視鏡をどのように組み込むかが課題である.また,透視台のフロアが異なり遠いため,スタッフの移動や不足・追加分のscopeや処置具の運搬などに時間がかかることが難点で,放射線技師のマンパワーの関係から透視を必要とする検査が遅い時間まで連なっていることも少なくなく,今後の課題である.医師は内視鏡所見入力と電子カルテの記載および検査後の診察,看護師は検査前後の観察記録の記載に加え同意書や問診票の確認,咽頭麻酔や鎮静剤投与など業務が多岐にわたっている.検査件数の増加や治療手技の高度化により以前より時間がかかり検査効率の点で問題があるが,安全に検査を行う上ではやむを得ず,業務時間内に終えられるよう取り組むことが課題である.

現在,内視鏡検査技師資格をもった看護師が3名で,当センターの検査規模からすると少ないのが現状であり,今後内視鏡検査技師免許を取得する看護師を増やしていく予定である.また,平成29年4月からオリンパス社とのVPP契約を初めて取り入れ,いくつかの最新機器を導入することができた.今後の更新時期にあわせて随時最新機種を導入し,当センターでの機器等整備における向上もはかっていきたい.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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