日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
福島県立医科大学会津医療センター附属病院
責任者:入澤篤志,冨樫一智  〒969-3492 福島県会津若松市河東町谷沢字前田21番地2
入澤 篤志
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2017 年 59 巻 12 号 p. 2760-2763

詳細

概要

沿革・特徴など

福島県立医科大学会津医療センターは,福島県立医科大学の会津地域における拠点として平成25年5月に新たに開設された施設である(センター長:高久文麿先生).当施設は診療・教育・研究を3本柱とする大学施設であり,診療は会津医療センター附属病院(病院長:棟方充先生,病床数226床)にて行っている.当院は会津医療圏という広いエリア(その面積は千葉県や愛知県が収まるほど広大)における中核病院として,最先端の医療を提供するとともに,感染症対策やへき地医療支援などの政策医療にも積極的に取り組み,地域医療機関との連携により会津地域全体の医療を支える役割を担っている.

消化器内視鏡診療に関しては,当院開設と同時に「最先端内視鏡診断・治療センター」が組織され,消化器内科および小腸大腸肛門科スタッフが診療を担当している.

組織

内視鏡室は独立部門であり,当施設開設以来,内視鏡室長は入澤篤志と冨樫一智が1年おきに担当している.内視鏡室における物品管理・機器購入等は内視鏡室として独自に行っている.なお,内視鏡室に勤務する看護師・内視鏡技師は看護部管理となっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

当内視鏡室の総面積は約200m2であり,3つの内視鏡検査・治療室,カンファレンス室,多目的室,トイレ,洗浄スペース,スタッフルームで構成されている.内視鏡が使用できるX線透視室は2部屋(うち内視鏡専用が1室)あり,これらは放射線部の管理となっている.しかし,その場所は廊下を挟んで内視鏡室の前に配置されているため,不自由を感じることなくX線透視下の検査・治療が遂行できる.

フロント担当の看護師が常駐している内視鏡室内の受付付近,および医師が常駐しているカンファレンス室には,X線透視室を含む全内視鏡室における状況(室内の様子)を把握できるモニターを配備しており,円滑な検査・治療遂行に役立っている.また,カンファレンス室には4分割表示ができる65型TVモニターが配置されており,全内視鏡室における内視鏡画像がモニターできるようになっている.

スタッフ

(2017年7月現在)

医   師:指導医2名,専門医9名,その他スタッフ8名,研修医など5名

内視鏡技師:Ⅰ種4名

看 護 師:常勤6名

事 務 職:1名

そ の 他:看護助手2名

設備・備品

(2017年7月現在)

 

 

実績

(2016年4月~2017年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では,上部消化管・胆膵内視鏡診療を消化器内科が行い,下部消化管内視鏡診療(カプセル内視鏡も含む)を小腸大腸肛門科が施行している.各科毎に週1回の内視鏡カンファレンスを行っており,研修医を含む若手医師への教育を行っている.

初期研修医に関しては,当初の指導は消化器内科において上部消化管内視鏡の研修を受ける.はじめにトレーニングモデルを用いて内視鏡の基本的操作を習得させ,その上達具合に鑑み上級医の判断で実際の内視鏡検査を行わせる.福島県からの奨学金を貸与された研修医は,2年間で100例の上部消化管内視鏡検査を実践することが求められているため,当院では比較的早い段階から実地経験を積ませるようにしている.また,胆膵内視鏡に関しては,ガイドワイヤー操作などの介助を実践させながら各疾患における内視鏡診療の意義・病態の理解に努めさせている.また,2年次には希望に応じて小腸大腸肛門科での大腸内視鏡の研修も可能となっている.

後期研修医に関しては,各診療科での専門領域における内視鏡診療を学びながら,希望に応じたクロスオーバー研修も可能としている.消化器内科においては上部消化管と胆膵の内視鏡診療を扱うが,特に臓器に偏ることなく,ESD・EUS(EUS-FNAや治療を含む)・ERCP関連手技・EIS等をほぼ並行して習得できるように指導している.また,時間が許す限り特殊検査・治療はスタッフ全員で臨み,当施設における上部・胆膵内視鏡診療の方向性を全員で理解・実践させるようにしている.小腸大腸肛門科においても,大腸内視鏡手技の上達に応じてcold polypectomy,hot polypectomy,EMR,進行癌に対するステント留置術を行わせている.大腸ESDに関しては,助手30例を経験後に直腸病変から術者を経験してもらっている.小腸内視鏡検査は,ダブルバルーン内視鏡の助手5例を経験してから術者を行わせている.

また,当内視鏡室には,検査室内とカンファレンスルームに専用ディスプレイを配備し,画像と音声を併用した教育ツール「アノテーションシステム」を導入している.このシステムは,検査室とカンファレンスルーム双方に内視鏡画像を同時に映し出し,その内視鏡画面上にタッチペンで書き込めるもので,これにより画像を見ながらリアルタイムでの描画による指導が可能である.一般的な術中指導は,画像を表示するディスプレイ上で,マーカー指示もしくは指差しにより行われるが,本システムでは,指導医が閲覧画面上にタッチペンにより絵を描き,各内視鏡画像を「図」として理解させることができる.また,ヘッドセットも併用できるため,非鎮静下の患者に初期研修医が施行する際にも“目”と“耳”からの直接指導をすることができ,上部消化管内視鏡検査初学者にとっては非常に有用なシステムと思われる.

現状の問題点と今後

当院が開設されてから本年で5年目を迎えた.地域連携も軌道に乗り,幸いにして内視鏡検査・治療数は順調に伸びている.しかしながら,いくつかの問題点も出てきている.ハード面においては,現在の部屋数では検査・治療数の増加に対応できなくなってきていることが大きな問題である.このため,本来は並列での施行が可能な手技も直列での施行を余儀なくされ,検査・治療終了時間がかなり遅くなってしまう.また,内視鏡室の看護師不足も相まって,看護師の残業時間の増加も深刻な問題となっている.また,内視鏡医不足も大きな問題であり,夜間休日の緊急対応などは若手医師に負担を強いている現状である.実際には内視鏡室の拡張や医師・看護師の人員増加はすぐに解決できる問題ではないため,院内運用で解決を図るべく,定期的に看護師と協議しながら対応策を検討している.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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