日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡室の紹介
順天堂大学附属順天堂医院
責任者:坂本直人(内視鏡室長)  〒113-8431 東京都文京区本郷3-1-3
福嶋 浩文澁谷 智義坂本 直人
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2017 年 59 巻 12 号 p. 2764-2766

詳細

概要

沿革・特徴など

同院は1838(天保9)年に佐藤泰然が江戸に蘭方医学塾(和田塾)として開学し,1843年に佐倉に医学塾順天堂として開設した.1873年に2代目堂主佐藤尚中が順天堂医院として開院し,1875年に現在の湯島の地に移転した.尚中は1869年,大学東校(東京大学医学部の前身)の初代校長としてもわが国の近代医学教育導入の礎も築いている.1964年に日本で最初に集中治療室:ICUを設置し,1993年には特定機能病院の承認を受け,2015年にはJCI(Joint Commission International)の認証を大学病院の本院として日本で初めて取得した.現在,病棟の更新及び院内施設の改善を進めており,現在内視鏡室のあるB棟も2014年3月に建設された.

組織

当院の内視鏡室は内視鏡部門として独立しているが,消化器内科,上部消化管外科,下部消化管外科,肝胆膵外科,低侵襲外科,呼吸器内科,呼吸器外科,小児科,小児外科,乳腺科の各科医師が内視鏡検査及び治療に従事している.内視鏡室の運営に当たっては内視鏡室長,室員,看護師,臨床各科の委員,関連部門(放射線科,臨床工学室,病院管理課,医事課)が参加して月に1回,運営委員会を開催して行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室はB棟3階に位置し,総床面積848.5m2であり,現在,内視鏡検査室9室とX線透視室2室の計11室を稼働させ,検査・治療を実施している.各ブース,完全個室化となっており,患者のプライバシーは十分に配慮されている.また,各ブース内に専用の電子カルテ,所見入力の端末を配置しており,医師,看護師ともに検査室内で入力,記録を完結することができる.実施している検査は,上下部消化管内視鏡,ダブルバルーン小腸内視鏡,胆膵内視鏡,超音波内視鏡,カプセル内視鏡,気管支鏡等である.また,当室は内視鏡の機器管理,内視鏡機器の洗浄・消毒・メンテナンス,検査予約,患者受付,検査記録の整理等の業務も行っている.リカバリールームは可動式ソファ12台と限られているため鎮静剤の使用は症例を選んで行っている.

スタッフ

(2017年7月現在)

医 師:指導医20名,専門医44名

看護師:14名(内視鏡技師Ⅰ種4名を含む),看護助手:7名

臨床検査技師:2名

スコープ等洗浄員:5名

医療事務員:4名

医療クラーク:3名

設備・備品

(2017年7月現在)

 

 

実績

(2016年4月~2017年3月)

 

 

指導体制,指導方針

当院は消化器内視鏡学会認定指導施設であるとともに,研修指定病院であり,初期研修医,後期研修医,専修医や大学院生と様々な身分の医師も内視鏡診療に携わっており,それぞれの能力や希望に応じた内視鏡研修,教育・訓練を積極的に遂行している.当院における内視鏡研修システムは各検査室の責任医(上級医)が中心となり,カリキュラムに沿って内視鏡修練医に対して指導を行っている.まず,検査の見学からスタートし,検査医,介助者の動きをみて一連の流れを学んでもらう.高周波電源装置やクリップ鉗子,スネア鉗子などの各種デバイスの取り扱いについては講習等を受け,上級医の指導のもと施行するようにしている.スコープ操作については,内視鏡モデルや内視鏡シミュレーターによるトレーニングなどで基本操作を学び,撮影法を理解し,一定の基準を満たした時点で上級医の指導のもと上部消化管内視鏡検査から施行してもらうようにしている.上部消化管内視鏡検査が一定レベルに達したら,下部消化管内視鏡検査も施行してもらうようにしている.質の高い検査を行うだけでなく,患者さん一人一人に適した検査ができるように指導している.また,毎週行っている内視鏡カンファレンスを通じて内視鏡診断について学び,検査時には所見用紙を自ら作成し,上級医にチェックしてもらうことで診断能力を身につけるようにしている.治療内視鏡,特殊内視鏡に関してはそれぞれの医師の希望とする分野を中心に研修を行っている.また,内科外科合同カンファレンスや病理との合同カンファレンスも毎月1回行っており,内視鏡所見と病理所見を個々の症例ごとに検討し,お互いの診断能や知見を向上させるよう努力している.看護師等のスタッフに対しても処置具の操作や各種介助技術の教育プログラムを作成し,内視鏡学会認定内視鏡技師の資格を積極的に取得できるようにしている.

現状の問題点と今後

新病棟移転に伴う検査室の増加とスタッフの努力により,内視鏡件数は2013年度の20,274件から2016年度は22,788件と12.4%増加し,以前に比べれば内視鏡検査予約取得期間も短縮しつつあるが,通常の検査等では2~3カ月待ちとなることもあり,需要に対する十分な供給が出来ていない.また,大学病院という特性上,常に最先端の技術や治療を追求しなければならない中で医師や看護師の入れ替わりが多く,常に人員の確保とスキルアップが課題となっている.また,特殊な治療や緊急内視鏡も多く,夜間まで施行する日もある.件数の増加に伴い,より効率的に検査が遂行できるよう各科で協力しつつ他部署との連携や協力体制を整えるようにしている.昨年度からは夜間緊急内視鏡時には手術室当直をしている臨床検査技師の協力も得られるようになり,強化されつつある.一方,内視鏡室のクラークが外来業務を手伝うなど各部署で手薄となっているところをサポートし合うようにしている.さらに,人間ドック等との協力体制も強化して行く予定である.

各業務の見直し,IT機器の導入,教育体制の強化,各科の連携,院内各部署との協力体制を強化し,検査の効率を上げることで,個々のスタッフの負担を増やさずに質の高い検査を数多く施行できるようにしていきたいと考えている.同時に臨床研究等を積極的に行い,国内外で中心的な役割ができるよう努力していく.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
feedback
Top