日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
日本医科大学千葉北総病院 内視鏡センター
責任者:藤森俊二  〒270-1694 千葉県印西市鎌苅1715
藤森 俊二
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2017 年 59 巻 2 号 p. 234-236

詳細

概要

沿革・特徴など

日本医科大学千葉北総病院は平成6年1月,当時の印旛村のほぼ中央に開院した.東京ドームの7倍を超える敷地を有し,敷地内に看護学校が併設されている.病院の敷地に雑木林があり,裏は水田と自然に囲まれており療養環境は優れている.病院は災害時に多くの患者を受け入れるように設計されている.各検査棟・治療室を結ぶ1,2,3階の80m近い廊下は,災害時にベッドが並べられるように2車線道路並みの広さがある.当院はこのように内外ともに広い面積を有し,救急に力を入れているため,災害拠点病院に指定されている.開院時には最も近い鉄道駅まで10km程あり(東20kmに成田,南10kmに佐倉,西10kmに千葉ニュータウン中央駅),東京から50km圏内でありながら交通の便は悪かった.平成12年7月,北総開発鉄道に印旛日本医大駅が開業し交通の便は改善した.これにより特に勤務者の長距離移動は容易になったが,列車の本数が少なく,また隣駅までの距離も長いため多くの患者は自家用車で来院している.

開院時に消化器内科医師2名,消化器外科医5名が共同で内視鏡検査・治療を行い,内視鏡センターとして看護師のみが直属する体制が築かれた.内視鏡センター所属として配置されている内視鏡部の医師はいない.開院時は6階ある病棟の内1階のみ開床したが,入院患者の増加とともに順次開床し,600床となった.開床とともに医師の増員が行われ,助教以上の医師として消化器内科9名,消化器外科16名が勤務し,加えて,呼吸器内科,救急救命センター医師が共同で内視鏡センターで検査・治療を行っている.

組織

中央検査部の一部.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

総面積:486m2

(受付・待合・廊下・便所・医局を含む).

スタッフ

(平成28年9月現在)

医   師:指導医4名,専門医5名,その他スタッフ16名,研修医など2名

内視鏡技師:Ⅰ種2名

看 護 師:常勤7名

事 務 職:3名

設備・備品

(平成28年9月現在)

 

 

実績

(平成27年4月~28年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

内視鏡センターで通常検査,治療を行う診療科は消化器内科,呼吸器内科,消化器外科である.消化器内科,消化器外科はともに通常は独自の科で検査,治療を行い,基本的に指導医・専門医が監視もしくは近くで検査を行っている.人員が少ない場合,また特殊な検査・治療の場合には両科が共同して行うことも多く,医師の人数の不足を両科が協力して補うよう努力している.呼吸器内科は独自に複数人数で気管支鏡を行い,常に上級医が入っている.本院との人的協力は欠かせず,特殊な治療・検査を行う場合には,本院から指導者を招聘したり,当院から本院に出向したりしている.また,近隣の大学付属病院から指導者を招聘することも行われるようになっている.内科認定医・外科専門医等取得ののち必要最短期間で内視鏡専門医資格の取得を目指すよう指導している.同時に,内視鏡配置の看護師には資格に必要な年数異動がない場合に内視鏡技師資格を取得するよう指導している.

当院はドクターヘリでマスコミに報道されているように救急部門に力を入れている.現在の消化器専門医の医師数では,内視鏡止血が十分に可能な医師が当直していない日も少なくない.救急部門の医師が内視鏡技術を身につけることにより,緊急止血処置を早く行える体制の構築を目指し,現在消化器内科では集中治療室,救命救急センターの医師に上部内視鏡を中心とした指導を継続的に行っている.近年では救命救急センターの医師が初期治療を行うケースも増加し,消化器科医師の助けになっている.

現状の問題点と今後

当院の多くの科は独立講座ではなく多くの医師が数年で交代する.この交代は新しい技術の導入・戦力維持には有用であり,また個人のキャリアアップにも役立つ.このように人事の流動性は病院の発展,個人の診療技術向上のために有用であるが,技術を磨いた医師が若年者と交代する場合も少なくない.この場合にはその分野において同等の医療を維持することが困難となり易い.熟練者の一定の退職が根本にあり,この問題はどこの施設でもあまり変わらないと考えられるが,人数の少ない科ではこの人事異動による打撃が大きく,従来行っていた検査・治療が出来なくなる.いかに早く専修医・若年医に特殊技術も含めて教育できるかが重要であり,できるだけ早期の研修が望まれる.

現在の当院の問題点の一つに病院設計・開院時と現在の内視鏡需要の乖離を原因とした,検査室の問題がある.現在当院では,大腸内視鏡検査とERCPの需要が非常に多く,検査ベッドが不足している.特に透視室が一室しかなく透視を必要とする検査が遅い時間まで連なっていることも少なくない.また,近年の内視鏡検査・治療にはsedationを必要とする検査が増え,sedationを希望する患者が多いが,当内視鏡室には監視ベッドが少なく,特に外来患者にsedationを施行できる患者は極めて限られている.また多くの患者にsedationを行うためには看護師の増員が必須である.当院は広い敷地を有しているため敷地的な問題の解決は可能だが,そのための建築・改築費用,看護師の増員は現時点では望めない.長期的に,内視鏡室の拡張・改造,看護師の増員を要望している.

また,多くの施設でも報告されているように,当院においても有内視鏡技師資格の看護師の異動が行われることが少なくない.近年内視鏡件数および内視鏡治療件数が増加傾向にあり内視鏡センター所属の看護師の増員が認められてきたが,専門的な内視鏡看護の技能を有する看護師の異動がある.看護部の人事バランスで異動が必要な場合もあるが,特殊技能が必要な看護師の配置には熟考を願いたいところである.

近年の内視鏡診断・治療は高度化・専門化の傾向が強く,地方とはいえ大学付属病院に対する患者の高度専門医療の期待は大きい.一方で,新専門医制度では特に内科系医師において専門研修の開始が遅れる計画になっていた.医師が高度専門医療を提供できる年数は内容による差もあるが有限であり,一般研修が研修医として義務化されている現在,速やかに専門研修へ進み技術の習得に努めることが望まれる.特に私は消化器内科医師であるので,消化器内科専門研修が遅滞しそうな新専門医制度を危惧していた.新専門医制度の導入は延期となったが,新しい論議による良い制度策定に期待している.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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