2017 年 59 巻 5 号 p. 1355-1357
当院は,当時公的医療機関がなかった浜松市の市長から日本赤十字社静岡県支部に要請があり,1938年3月17日に浜松市高林(現在の浜松市中区高林)に開設された.その後診療内容の拡大等に伴い増改築を繰り返したが,旧住所での建て替えには限界が生じたため,2007年11月1日に浜松市浜北区小林に移転新築した.
現病院での診療開始と同時に電子カルテを導入し,内視鏡検査ファイリングシステムも整備した.
当院は通常時には地域医療支援病院として,地元の診療所,病院および施設と緊密に連携して地域医療に貢献し,政令指定都市浜松市北部の基幹病院として機能している.一方,災害時には災害拠点病院として即時に救護活動が開始できるように訓練している.東日本大震災や熊本大地震の際にも救護班等を出動し,赤十字病院としての災害救護活動に従事した.
組織病院の組織上は医療技術部に属しており,独立したセンターではなく専任の医師は配置されていない.常勤の消化器内科医師,消化器外科医師および非常勤医師により,内視鏡検査と治療が滞りなく施行されている.内視鏡室運営委員会(医師,看護師,検査技師,臨床工学士および事務職にて構成)が定期的に開催され,業務内容の現状報告や改善すべき事項等の協議が行われている.
当院には健診センターが併設されており,同センターからの依頼による人間ドック関連の内視鏡検査も行っている.浜松市胃がん検診についても,胃部X線検査だけでなく胃内視鏡検査も積極的に行われるようになり,当院でも経鼻内視鏡を中心に検査件数が急増している.
検査室レイアウト

内視鏡室は1階の医療技術部門に位置し,生理検査室や放射線検査室等と隣接している.総面積は297.1m2,検査室は3室でそのうちの1室は内視鏡専用のX線透視室を併設している.その他にリカバリー室(リクライニングチェアー5台),専用の洗浄室(洗浄機3台)および大腸内視鏡前処置室(8席)を有する構造となっている(見取り図参照).
被検者が外来での内視鏡検査時に鎮静剤の投与を希望される場合,大きな合併症を有しない80歳未満の方で検査後に車の運転をしないという条件で使用している.当院では大腸内視鏡検査の前処置は院内で行うことを原則としている.本人の希望が強く,大腸内視鏡検査を受けた経験があり全身状態が良好な場合のみ自宅での前処置を許可している.前処置室専用のトイレ4室以外に半径10m以内に10室のトイレが共用で使用できる.
内視鏡検査機器の管理には臨床工学士が中心的役割を担っている.当院では,移転新築時から内視鏡機器はすべてVPP(Value Per Procedure) すなわち症例単価払い方式を導入した.5年毎に最新機器が導入でき,定期点検,修理保障および故障時の代替品付きであり,使用実績の報告も受けることができる.
(2016年12月現在)
医 師:指導医4名,スタッフ7名,非常勤医師7名
内視鏡技師:Ⅰ種1名(看護師)
看 護 師:常勤5名
臨床工学士:1名
洗浄スタッフ:1名(派遣)
事 務 職:2名(派遣)
(2016年12月現在)

(2015年4月~2016年3月)

上部内視鏡検査は,初期研修の段階では見学と検査モデルを用いた操作練習のみにとどめ,基本的には専門研修1年目から開始している.上級医の行う検査の見学に引き続いて,引き抜き時の観察から始め,独立して検査できるように段階的に指導を行う.2年目からは,症例を選んで上級医の監督下に治療内視鏡や緊急内視鏡の術者も担当するようにしている.
下部内視鏡検査は,初期研修時には見学と検査モデルを用いた操作練習のみで,専門研修2年目から開始する.上部と同様,まず引き抜きと観察を行ってスコープの操作に慣れることから始めていく.スコープ操作に慣れた2カ月目頃から,症例を選んで挿入から始めるようにする.
上級医,指導医の監督下にすべての検査・治療の教育は実施されている.病理医主導による病理カンファレンスを消化器内科と消化器外科合同で毎週開催している.
移転当初予想された内視鏡検査件数よりも症例数の伸びが多く,現状の検査室数では不足しており,部屋数の増加が望まれる.午前中に上部消化管,午後に下部消化管と胆膵系およびESDを行っており,検査室はフル稼働状態である.
2017年4月までに消化器内科医が2名増員される予定であり,胃・大腸がん検診での内視鏡検査件数もさらに増加することが予想されるので早急な改善が望まれる.