日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
責任者:院長 辻井正彦,消化器内科主席部長 兼 内視鏡センター長 小林一三  〒578-8588 大阪府東大阪市西岩田3丁目4番5号
小林 一三
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2017 年 59 巻 5 号 p. 1358-1361

詳細

概要

沿革・特徴など

東大阪市は,大阪府と奈良県の境にある生駒山の西側の麓に広がる都市で,花園ラグビー場を有しており,ラグビーの町として知られています.また中小企業の町でもあり,人工衛星「まいど1号」を打ち上げたことでも有名です.われわれの病院は,この50万人都市の中核病院として,急性期医療を担っております.

前身は,昭和24年大阪府布施市永和に社会保険病院設置の際,市民病院を併設.昭和30年布施市民病院として一元的運営開始.昭和33年に布施市御厨に新築移転開設しました.昭和42年に布施市,河内市,枚岡市が合併して東大阪市となった際に,東大阪市立中央病院と改称.平成10年5月に,現在の大阪市西岩田に診療科目21科目,573床の東大阪市立総合病院と改称して新築移転.そして平成28年10月に独法化し,地方独立行政法人市立東大阪医療センター(標榜31科目,547床)として生まれ変わりました.地域医療支援病院,厚生労働省による「地域がん診療拠点病院」,災害拠点病院の指定を受けており,日本内視鏡学会からは認定施設に指定していただいております.

組織

東大阪市立総合病院開設当初から,透視室も備えた独立した内視鏡室が設置されており,専任の看護師,クラークが配属されています.平成19年からは内視鏡センターとなり,組織的にも独立して運営されています.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

総面積は205.9m2.通常の検査・治療を行う検査室が3つと,透視検査室が1つあります.基本的には午前中は上部,午後に大腸検査を行っています.希望者および,医師が必要と判断した場合にセデーションを行っており,リカバリールームにはベッドを6つ用意しています.3つの検査室は遮光カーテンで仕切られているため,各検査室の照明のオン・オフは独立して行えます.多くの機械や人手が必要で,1つの検査室では狭い場合には,間仕切りのカーテンを開いて2つの検査室を1つにして使用します.また,内視鏡検査中に突然高周波凝固装置やEUSが必要となった場合にも,機器の移動・搬入に便利です.検査中に予期せぬ事態が起こった場合には,外部からもすぐに察知して駆け付けられるため,迅速な対応が可能です.

所見を書くスペースは3つの検査室で共通になっており,所見入力用と共用の電子カルテ端末が7台配置されています.画像ファイリングは,放射線科のPACSを使用しており,付属の所見入力システムを用いて入力します.所見スペースには内視鏡アトラスや関連の書籍,雑誌も配備されています.診断に迷う症例の場合には,数人の医師で相談しながら所見を書きます.月・水・金曜日は消化器内科医のみですが,火・木曜日は消化器外科も検査に入るため,癌の症例や手術を考慮する症例は一緒に検査を行い,診断とともに治療方針までその場で相談しています.また内視鏡以外の症例の相談も,所見スペースで頻繁に行っています.

カンファレンスルームにも,所見入力用と共用の電子カルテ端末が3台設置されており,毎週木曜日に消化器内科医,消化器外科医が集まって内視鏡症例カンファレンスを行って,消化管癌の患者を中心に問題症例の治療方針を検討しています.また肝胆膵の症例については,隔週で消化器内科,消化器外科,放射線科合同のカンファレンスを行い,肝胆膵領域の問題症例について検討しています.

内視鏡センターの存在によって,消化器内科,消化器外科の間の距離が縮まり,内視鏡症例のみならず消化器疾患全般の診療がスムーズに進行しています.

スタッフ

(H29年1月現在)

医   師:指導医4名,専門医2名,その他スタッフ9名,研修医など2名

内視鏡技師:Ⅰ種3名

看 護 師:常勤8名,非常勤1名

事 務 職:3名

そ の 他:洗浄員(臨時)1~2名

設備・備品

(H29年1月現在)

 

 

実績

(H27年4月~H28年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

基本的には,研修医には出来るだけ早期に内視鏡手技を習得してもらい,十分習熟してもらえるように指導しています.前期研修医は,本人のやる気にもよりますが,最初に上部消化管モデルで内視鏡操作の練習を行った後,主に受け持ち患者での観察・引き抜きをしてもらいます.ただ前期研修1年目に消化器内科を回る期間が1カ月半と短いため,1年目だけで十分な指導はできません.内視鏡に興味のある研修医,消化器内科を志す研修医は,2年目にも消化器内科を2-3カ月回ってくるので,その際には可能な限り内視鏡に触れてもらい,上部消化管内視鏡のルーチン検査を(上級医の監督の下で)挿入から抜去まで一通り出来るようになってもらえるよう指導します.大腸内視鏡も,できるだけ早期から経験してもらうようにしています.やはり練習モデルで練習した後,上級医が可能と判断した時点で引き抜き観察や直腸の挿入等,経験してもらいます.後期研修に入ると,内視鏡の経験数を増やしてもらい,観察の精度の向上,大腸では盲腸到達率の向上を目指すとともに,ポリペクトミー・EMR等の処置を習得していただきます.それとともに,上級医の指導の下,止血処置や静脈瘤硬化・結紮療法,ポリペクトミー,ERCPの習得を段階的に行います.ESDも,可能な限り施行していただきます.半年から一年の間に,一人で止血処置ができるようになっていただき,夜間休日の内視鏡オンコールにも参加してもらいます.

当院では後期研修医は一人前の医師として扱い,病棟主治医のみならず外来診察も担当してもらいます.もちろんカンファレンスで,あるいは個人的にも上級医の指導はありますが,基本的には主治医として責任をもって診療を行ってもらいます.また,前期,後期研修を通じて,昼間・夜間の内科救急診療に参加してもらうため,消化管出血や総胆管結石,急性膵炎等,腹部急性疾患の診断・治療に初期対応から退院まで一貫して診療を担当してもらうようにしています.

現状の問題点と今後

現状の問題点としては,スペースの狭さが挙げられます.設立当初はリカバリールームがありませんでした.しかし,次第にセデーションを希望する患者が増加し,現在では治療も含めて年間上部で1,365件,大腸で766件のセデーションを行っています.リカバリールームが必要となったため,スタッフルームをリカバリールームに改造し,機器庫をスタッフルームに変更しました.そこで機器庫がなくなり,現在はカンファレンス室に治療機器が数台置かれている状況で,カンファレンスの度に移動しています.また患者待合室が狭く,9人程度しか座れないため,朝の混雑時には人があふれ,検査室前の廊下にもソファを置いて座ってもらっています.また,待合室が透視検査室への通路を兼ねているため,ストレッチャーが目の前を通ることも多く,検査待ちの患者,家族の不安感をあおる可能性があります.

できれば新たに1部屋確保し,スタッフルームを移転して機械庫を設け,待合室も拡張したいという希望はありますが,他部門も含めた大幅な変更が必要となります.

検査・治療については,最近では上部消化管内視鏡の総件数がやや減少傾向です.これは,周辺に内視鏡検査を行うクリニックが増加しているためと思われます.内容的にはスクリーニング検査が減少傾向で,精密検査および内視鏡治療が増加しています.ESDはH16年度から開始しており,外科と密に相談しながら適応を決定しています.当初は胃のみでしたが,H24年度からは大腸,H26年度から食道の症例も開始し,現在急速に増加しつつあります.EUS-FNAも,H26年度にコンベックス型のEUSが導入されて以来,膵癌の確定診断や,粘膜下腫瘍,腹腔内リンパ節腫大の鑑別診断等,数多くの症例に施行しており,現在では膵癌の確定診断のfirst choiceとなっています.小腸内視鏡については,昨年度までは機器を借りて施行していましたが,今年度よりシングルバルーン小腸内視鏡システムを導入しており,今後積極的に症例を増やしてゆく方針です.

内視鏡センターとしては,今後も新たな検査・治療機器が登場すれば積極的に導入し,常に最新の内視鏡診療ができるよう,整備してゆく予定です.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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