日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
北海道大学病院 光学医療診療部
責任者:清水勇一(光学医療診療部 診療教授・部長) 〒060-8648 北海道札幌市北区北14条西5丁目
清水 勇一
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2017 年 59 巻 6 号 p. 1454-1456

詳細

概要

沿革・特徴など

北海道大学病院は,大正10年に北海道帝国大学附属病院として設立され,消化器内科は昭和22年に第三内科として発足した.旧病院に内視鏡室がいつ開設されたのかは資料が残っておらず不明であるが,平成6年に新病院が稼働した時点では,同院外来棟の2階に開設された.平成11年に現在の光学医療診療部として独立,初代部長は浅香正博第三内科教授が兼任し,平成19年に加藤元嗣が専任部長となった.検査,治療数の増加とともに手狭となり,平成26年に外来棟の3階に移転,平成28年より清水勇一が部長を引き継ぎ現在に至っている.

組織

北海道大学病院内の中央診療部門として独立した組織となっている.

光学医療診療部は,消化器内科の内視鏡診療グループが中心となり,消化器内科の胆膵グループ,IBDグループ,および呼吸器内科(気管支内視鏡)が共同で運営している.光学医療診療部としての正式なスタッフ枠は准教授1名(部長),助教3名であるが,消化器内科講師が副部長として専任となっている.また,医学研究科消化器内科学分野の大学院生5名も光学医療診療部専任となっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

各検査室は個室となっており,また,ESDなどの治療内視鏡を行うための専用室を治療内視鏡室として配置した.電源,酸素供給,データケーブルなどはすべて天吊りユニットからの配線,また,モニターも天吊りとなり,衛生環境の向上が得られている.術者,患者のリラクゼーション効果目的に,室内灯はブルーライトを使用している.気管支内視鏡用に1室は陰圧対応となっている.内視鏡洗浄に関するモニタリングは,感染制御部の協力により,洗浄後内視鏡の定期的な培養モニタリングや洗浄室の環境調査を行っている.

全検査室の全体像,および内視鏡画面をカンファレンスルームのモニターから確認できるシステムであり,研修医,大学院生の指導に役立っている.また,看護師リーダーの机にも全検査室の全体像を監視できるモニターが配備されており,円滑な検査の運営に役立っている.

消化器内視鏡検査は消化器内科の医師しか予約できないシステムとなっており,緊急検査以外の検査数の至適化が図られている.内視鏡開始時のタイムアウトの徹底など,医療安全に注力した運営を心がけている.

スタッフ

(2017年1月現在)

医   師:指導医3名(消化器内科全体10名),専門医3名(消化器内科全体5名),その他スタッフ3名

看 護 師:常勤17名(兼任)

内視鏡技師:Ⅰ種1名(兼任)

洗浄助手:2名

事 務 員:3名

設備・備品

(2017年1月現在)

 

 

実績

(2015年4月~2016年3月)

 

 

指導体制,指導方針

初期研修医に関しては,消化器内科での研修の一環として当診療部に1~2カ月間限定の研修となることが多い.上部内視鏡用の胃モデルを用いて内視鏡の基本的操作を習得してもらい,指導医の内視鏡検査,治療の見学,介助を行い,基本的な診断学を学んだ後に,意識下鎮静内視鏡検査患者から,実際の内視鏡検査をスタートさせる.十分なレベルに達したと判断された場合は,非鎮静の経過観察目的の患者も対象とする.原則,1カ月間で地域一線病院での上部消化管検査を一人で行えるように育てあげる.2カ月間,当診療部で研修する場合は,下部消化管検査も一人で行えるようにする.

後期研修終了後は,当科(消化器内科)所属教室員の多くは大学院に進学し,2年目から大学病院勤務となる.光学医療診療部にも毎年1~2名の大学院生が配属され,消化器内視鏡に関連した研究を行う.実際に,光学医療診療部発足後,23名が当診療部に所属しながら学位を取得している.学位研究と並行して,先進的な内視鏡診断学,およびESDなどの高度な手技を習得してもらう.それぞれ毎週1回行われる内視鏡画像カンファレンス,クリニカルリサーチカンファレンス,病理,外科との術前術後カンファレンスにて積極的にプレゼンテーションを行う.国内学会はもちろん,3年目以降は国際学会での積極的な発表を指導している.また大学院卒業までには必ず英語論文にまとめることを義務付けている.並行して,日本消化器内視鏡学会専門医取得を目指し,卒業後は,医員として大学で研究継続,もしくは地域一線病院にて指導的立場として活躍してもらうことになる.

現状の問題点と今後

人員については多くの施設において共通の問題と思われるが,当診療部においては特に,内視鏡技師(臨床工学士)が他部門と兼任であるため,光学医療診療部に終日勤務できる技師が1名か多くても2名であり,ESDなどの専門的な介助を要する手技が並列で行いづらいという問題点がある.また,同様に看護師も他部門と兼任であること,毎年の様に他科への配置転換が行われることから,消化器内視鏡に興味を持つ人材が育ちにくいという深刻な問題がある.医師のマンパワーについても,病院全体の夜間,休日の緊急内視鏡検査,処置が実質5名の大学院生で賄われており,かなりの負担を強いている状況である.これらの点については関係部署に根気強くはたらきかけているところである.

施設上の問題に関しては,下部消化管内視鏡検査の前処置として下剤を服用する場所が内視鏡室の1階下の消化器内科外来であり,患者の動線に難がある.同じ3階に前処置スペースを探しているところである.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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