日本消化器内視鏡学会雑誌
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ガイドライン
抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017
加藤 元嗣上堂 文也掃本 誠治家子 正裕樋口 和秀村上 和成藤本 一眞
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2017 年 59 巻 7 号 p. 1547-1558

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要旨

日本消化器内視鏡学会は,抗血栓薬の休薬による血栓塞栓症の誘発に配慮した“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”を報告した.その後新しい経口抗凝固薬が用いられるようになり,実臨床ではそれらの対応についての基準が求められていた.そこで,抗凝固薬の新たな知見を加えて,抗凝固薬に関する追補版を作成した.しかし,各ステートメントに関してはエビデンスレベルは不十分なものが多く,今後は臨床現場での追補ガイドラインの検証が必要となる.

[1]序

わが国では2012年に抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインが発表されてから,消化管出血リスクよりも休薬に伴う血栓・塞栓症リスクに重点を置く消化器内視鏡診療に変化した 1),2.ただ,ガイドライン発表後に上市された多くのDOAC(direct oral anticoagulants,NOAC novel/non-vitamin K oral anticoagulantsと同義)に関しては,消化器内視鏡時の休薬基準について一定の見解が出されていない.従って,実臨床では施設ごとに様々な対応がなされて混乱が生じている.また,経口抗凝固薬(ワルファリン・DOAC)休薬の代替療法として先のガイドラインでは,ヘパリン置換が抗血栓症リスクを低減することで推奨されたが,ヘパリン置換の出血リスクが次第と明らかとなってきた.そこで,DOACを含めた経口抗凝固薬服用者に対する消化器内視鏡診療についての新たなステートメントを作成した.DOACについては短期間に新たな知見が次々と報告されており,各種DOACの特徴についても次第に明らかになりつつある.しかし,現時点では十分なエビデンスが蓄積されているとはいえない.今後,新知見が明らかになることによって,さらなる改訂が必要となる.

[2]ガイドライン作成の経過

本稿は2012年の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインに対して,DOACを含めた抗凝固薬に関する追補として作成された.その作成過程は前回のガイドラインに準じた.2016年12月22日に作成委員4名,評価委員2名でコンセンサス会議を開いて最終案を決定し,その後委員6名によりDelphi法で同意度を確認した.各ステートメントに対するエビデンスレベルと推奨度の評価をMindsの推奨グレードを用いて行った(Table 1).Delphi法は,1-3:非合意,4-6:不満,7-9:合意,として中央値と範囲を記載した.また,対象者および消化器内視鏡検査・治療による出血危険度分類は前回のガイドラインと同様である.

Table 1 

推奨の強さとエビデンスレベル.

[3]経口抗凝固薬の休薬リスク

経口抗凝固薬による抗凝固療法を受けている患者の休薬に伴う血栓・塞栓症のリスクは様々であるが,一度発症すると重篤なことが多いため,抗凝固療法中の症例は全例を高危険群として対応することが望ましい.消化器内視鏡処置におけるワルファリンの休薬による血栓塞栓合併症について,ワルファリンを休止した1,137回(987例)のうち1.06%(12回)で脳卒中を発症したとの報告がある 3.その中でも,80歳以上,脳卒中既往あり,高脂血症既往ありの場合,有意に休薬による脳卒中の発生頻度が高いと報告されている.この報告の中では,休薬中に発症した脳卒中の重症度は記載されていないが,心原性脳塞栓症の既往のある患者の経口抗凝固薬の休薬は,血栓症の頻度が高いことをあらためて認識すべきである.

[4]DOACの薬理学的特徴

DOACはトロンビンまたはXa因子の直接阻害薬である.2011年1月,直接的トロンビン阻害薬であるダビガトランが,非弁膜症性心房細動患者の虚血性脳卒中および全身塞栓症の発症抑制に適用承認され,その後,Xa阻害薬のリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが同様の適用で上市された.これらの薬剤は新規経口抗凝固薬(NOAC)と分類・呼称されてきたが,2015年国際血栓止血学会からは直接経口抗凝固薬(DOAC)という名称が推奨されている.ワルファリンに比べると,薬理学的に①用量反応性に優れる,②抗凝固活性の個人差が少ない,③ビタミンK摂取の影響がない,④薬物相互作用がほとんどない,臨床的に①脳卒中または全身性塞栓症を19%減少,②死亡率を10%減少,③頭蓋内出血を52%減少する,などの点が特徴である 4),5.消化管出血は25%増加するとされているが,ワルファリン療法とほぼ同等かややイベントが少ないという結果もある 6),7.ただ,経口投与されたDOACが直接消化管内で止血機序を阻害する可能性があり 8,炎症やびらんなどがあれば出血しやすい点はワルファリン療法と異なる点である.

DOACは投与後0.5~5時間で血中濃度がピーク期に到達し(Table 2),効果発現が極めて早い.また,半減期は約12時間前後と短いため(Table 2),投与中止後,抗凝固効果は速やか(48時間以内)に減弱する.健常人におけるXa阻害薬服用時の検討において,抗Xa活性は一日1回投与薬で最終服用後48時間,一日2回投与薬では36時間で消失すると報告されている 9),10.そのため,それ以上の期間の休薬にはメリット・デメリットを充分に検討する必要がある.

Table 2 

各DOACの薬理学的特徴.

[5]DOAC治療効果の評価

DOACは血中濃度を測定できるが,個々人で凝固能,抗凝固能は異なるため,同量の薬剤を投与していても実際の抗凝固効果は様々である.そのため,DOACの抗凝固効果の判定には実際に凝固時間法での判断が必要で,可能であれば処置前にはAPTTならびにPTを測定し参考とすることが望ましい 11),12.トロンビン阻害薬の抗凝固効果はAPTTに,またXa阻害薬はPTにある程度反映される.DOAC療法では,トラフ期の血中濃度が出血性副作用に影響するので 13),14,トラフ時の血漿サンプルを用いて,これらの一般的な検査で異常値がでるようなら,DOACの蓄積による出血性の副作用の可能性が示唆される.また,これらの一般的な凝固検査が基準値内であっても,DOACを服用している場合があるので注意が必要である.薬剤の中断を疑った場合には,現状では保険収載がなく測定可能な施設は限られるが,DOAC血中濃度の測定が有用である.

また,可溶性フィブリン(SFまたはFMC)などの血栓マーカーによって抗凝固薬の治療効果の確認や血栓リスクの評価が可能である(Table 3).可溶性フィブリンは術後の深部静脈血栓症の発生時にD dimerよりも早く反応し 15,また冠動脈血栓にも鋭敏に反映する良好な血栓マーカーである 16.しかも半減期は8~11時間であり 17,DOACの効果を反映する良好なマーカーと考えられる.現在,モノクローナル抗体を用いたELISA法による可溶性フィブリンの測定キットは3種類あり,それぞれモノクローナル抗体の性質より測定値は若干異なる.2種類のSFは血栓準備状態を,またFMCは凝固亢進を示唆すると考えられる 18

Table 3 

血栓マーカーのまとめ.

[6]ステートメント

ステートメント1

通常の消化器内視鏡において,ワルファリンを休薬なく施行可能である.また,内視鏡的粘膜生検や出血低危険度の消化器内視鏡において,ワルファリンを休薬なく施行してもよいが,PT-INRが通常の治療域であることを確認する.

Delphi法による評価 中央値:9 最低値:8 最高値:9

Evidence level:C,推奨度:1

解説:

既報の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインでは,通常消化器内視鏡や内視鏡的粘膜生検などの出血低危険度の消化器内視鏡では,抗血栓薬休薬による血栓塞栓症発症のリスクを回避するために,休薬しないことが推奨された 1),2.過去の報告や学会で行った前方視的な観察研究ではワルファリンは休薬しても継続しても内視鏡に関する出血には差を認めなかった 19)~22.しかし,ワルファリン内服者でPT-INRが治療域内に留まっている場合であっても,PT-INRが高くなるにつれて生検後出血リスクは高まるため,注意深い対応が必要である 23.PT-INRが3.0以上では消化管出血のコントロールが不良になるとの報告から,検査1週間以内(当日または前日が望ましい)に測定したPT-INRが3.0を超えている場合には,生検は避けた方がよい 24

生検や出血低危険手技では,抗血栓薬服薬の有無にかかわらず一定の頻度で出血を合併するが,大規模な観察研究では抗血栓薬服用者は非服用者に比べて出血の偶発症は多いとの結果であった 22.生検などを行った場合には,止血を確認して内視鏡を抜去し,止血が得られない場合には,止血処置を行う 1

ステートメント2

ワルファリン内服者での出血高危険度の消化器内視鏡においては,ヘパリン置換は後出血リスクを上げる可能性がある.ヘパリン置換の代わりに,INRが治療域であればワルファリン継続下あるいは非弁膜症性心房細動の場合にはDOACへの一時的変更で内視鏡的処置を行うことも考慮される.

Delphi法による評価 中央値:8 最低値:7 最高値:9

Evidence level:C,推奨度:2

解説:

2012年の日本消化器内視鏡学会の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインでは,出血高危険度の消化器内視鏡において,ワルファリン単独投与の場合はヘパリンと置換するとされた 1),2.しかし,ワルファリンの代替えとしてのヘパリン置換は,出血リスクが有意に高まることが症例対照研究やメタ解析,さらにはランダム化試験によって次第と明らかとなった 21),25)~30.ペースメーカー埋め込み術や心房細動アブレーション術においては,ヘパリン置換とワルファリン継続を比較した試験では,血栓症の発症は変わらないが,出血についてはワルファリン継続の方が有意に低いとの結果であった 31),32.処置前日または当日のPT-INRを治療域内の低値に近づけることで,ワルファリン継続下での内視鏡処置後の後出血リスクが低下する可能性がある.当日の休薬はワルファリン継続の範疇とされる.治療当日の抗凝固作用の影響を考慮すると,エビデンスには乏しいが,非弁膜症性心房細動の場合には事前にPT-INR値が有効域を切っているのを確認したうえでワルファリンからDOACに一時的に変更するとの選択肢も考えられる.ただし,DOACの適応がある心疾患は現時点では非弁膜症性心房細動のみであるため,弁膜症性心房細動や人工弁設置後ではDOACへの変更はできない.

ステートメント3

出血高危険度の消化器内視鏡において,ワルファリンと抗血小板薬(アスピリン,チエノピリジン)を併用している場合には症例に応じて慎重に対応し,抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が好ましい.内視鏡の延期が困難な場合には,抗血小板薬はアスピリンまたはシロスタゾールにして,INRを治療域に保ったワルファリン継続下あるいはヘパリン置換を考慮する.または非弁膜症性心房細動の場合には事前のワルファリンからDOACへの一時的変更も考慮してよい.

Delphi法による評価 中央値:8 最低値:7 最高値:9

Evidence level:D,推奨度:2

解説:

抗血小板薬と抗凝固薬を併用した場合,出血高危険度の消化器内視鏡の出血性合併症がどれくらい増加するかについての明確なエビデンスは存在しない.従って,既報の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインに準じて,アスピリンやチエノピリジンの抗血小板薬を単独で服用あるいは併用している場合にはアスピリンを継続するか,またはアスピリンならば3-5日前より,チエノピリジンならば5-7日前より,シロスタゾールに置換をして,アスピリンかシロスタゾールの単剤内服とする 1),2.抗血小板薬と抗凝固薬の併用における出血リスクの軽減を期待して,治療当日の抗血小板薬を休薬することは可能である.ただし,抗血小板薬の置換については処方医と相談し,内視鏡治療に伴う一時的なものにとどめる.アスピリンやチエノピリジン以外の抗血小板薬については当日の休薬で対応可能である.ワルファリンについてはPT-INRを治療域にコントロールした上でワルファリン継続下にするか,ヘパリン置換を考慮する 23),24.非弁膜症性心房細動の場合にはエビデンスには乏しいが,処方医と相談した上で事前にPT-INR値が有効域を切っているのを確認したうえでワルファリンからDOACに一時的に変更するとの選択肢も考えられる.

ステートメント4

DOAC服用時の通常の消化器内視鏡は休薬なしに施行可能である.

Delphi法による評価 中央値:9 最低値:9 最高値:9

Evidence level:C,推奨度:1

解説:

観血的処置を行わない通常消化器内視鏡では,抗凝固薬休薬による血栓塞栓症発症のリスクを回避するために,休薬しないことが原則である 1),2

ステートメント5

DOAC服用時の粘膜生検や出血低危険度の消化器内視鏡は,DOACの休薬なく施行しても良い.ただし,服薬時間から推定した血中濃度のピーク期を避けて処置を施行することが望ましい.

Delphi法による評価 中央値:9 最低値:7 最高値:9

Evidence level:C,推奨度:1

解説:

DOACは投与後0.5~5時間で血中濃度がピーク期に到達し,効果発現が極めて早く,また半減期は約12時間前後と短いため,服薬時間の確認が大切である.2012年の日本消化器内視鏡学会の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインでは,抗凝固薬の休薬なく生検や出血低危険度手技は施行してもよいとされている 1),2.ガイドライン発表後に前向き試験を含むいくつかの報告があるが,抗血栓薬継続下での生検では後出血の頻度は増加しないとの成績であった 33)~35.ただし,血中濃度のピーク期を避け,抗凝固活性が低下した血中濃度のトラフ期(服用から2-4時間後以降,Table 2参照)に行う方が後出血のリスクを軽減できるため 19,服薬や処置の時間を調整するのが望ましい.具体的には処置があらかじめ予測できる場合には朝の内服を処置後に遅らせる,朝に内服している場合には午後に処置を行うなどである.

抗血栓薬の継続下での生検には,注意深い対応が求められ,必要最小限の生検に留めること,止血が得られていることを確認して内視鏡を抜去すること,止血が得られない場合には止血処置を実施することに留意する 1),2

ステートメント6

出血高危険度の消化器内視鏡において,DOAC服用者は前日まで内服を継続し,処置当日の朝から内服を中止する.内服は翌日の朝から再開する.

Delphi法による評価 中央値:8 最低値:8 最高値:9

Evidence level:D,推奨度:2

解説:

2012年の日本消化器内視鏡学会の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインでは 1),2,出血高危険度の消化器内視鏡においてDOACはヘパリン置換することになっていたが,DOACはヘパリン同様に短時間で薬効が減弱・発現するため,DOACの短期間の中止のみでの対応とした.また2012年のガイドラインには,DOACのうち抗Xa阻害薬についての記載はない.DOACには1日2回投与と1日1回投与の薬物がある.1日2回投与のDOACは抗Xa活性や抗トロンビン活性は24~36時間持続し,1日1回投与のDOACの抗Xa活性は36~48時間持続する 10.抗Xa活性の消失時には血栓症発症のリスクが高まるため,血栓症リスクの観点からはDOAC休薬は1日2回投与薬で36時間,1日1回投与薬で48時間が限界と考えられる 36.従って,治療日の朝から休薬してトラフ期に処置を行い,翌日朝に再開するとした.すべてのDOACの抗凝固阻害効果は腎機能に影響を受けるので,内視鏡施行前に腎機能を確認しておくことが望まれる(腎機能低下例では抗凝固効果の増強や中止後遷延の可能性に留意する).

[特に血栓塞栓症の危険性の高い群において]

抗凝固薬服用例は基本的に血栓症の高発症群であるが,その中でも血栓リスクは異なる.CHADS2スコアは,非弁膜症性心房細動における脳梗塞のリスクと関連し,臨床的に血栓症のリスクを評価できる.また最近,可溶性フィブリン(SFおよびFMC)が凝固亢進状態を反映し,血栓症および血栓準備状態を推測する凝固系分子マーカーとして注目されている 16(ただし,現時点での保険適用は播種性血管内凝固症候群,静脈血栓症または肺動脈血栓塞栓症の診断,及び治療経過の観察となる).臨床的にリスク因子を多数持つ患者や可溶性フィブリンが高値または休薬中に上昇する患者は血栓が形成されやすい状態と考えられ,抗凝固薬の休薬は特に注意を要する.このような血栓の超高危険群で抗凝固薬をやむを得ず休薬する場合は,処置後すぐのDOACの再開を考慮してもよい.また経口投与されたDOACが消化管内で直接止血機序を阻害し 8),37,消化管出血を招く可能性も否定できないため,翌日朝の内服再開までのヘパリン投与を考慮してもよい.欧米の臨床試験 29),38で消化管出血の合併頻度が少なくないことが報告されている.リクシアナではヘパリンからの変換は,ヘパリン終了4時間後からの投与が望ましいとされている.他のDOACの場合は明確な文書はないが,ヘパリンのピーク期が2~4時間であることを考慮すれば最低4時間以上あけてDOACに変更した方が良いと考えられる.

ステートメント7

出血高危険度の消化器内視鏡において,DOACと抗血小板薬を併用している場合は症例に応じて慎重に対応し,抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が好ましい.内視鏡の延期が困難な場合には,抗血小板薬はアスピリンかシロスタゾール単独投与にして継続する.DOACは処置当日の朝から内服を中止し,翌日朝から再開する.

Delphi法による評価 中央値:8 最低値:7 最高値:9

Evidence level:D,推奨度:2

解説:

抗血小板薬と抗凝固薬を併用内服されている患者は基本的に血栓塞栓症の発症リスクが高い患者であり,抗血栓薬の休薬は極力避ける必要がある.近年では経皮的冠動脈形成術として薬剤溶出性ステントが一般的で,心房細動合併や,機械弁置換術後の症例ではステント挿入後早期において複数の抗血小板薬と抗凝固薬との併用の可能性が考えられる.また,最近では心房細動合併例の冠動脈ステント留置術後早期であっても,P2Y12阻害薬(含チエノピリジン系抗血小板薬)単剤とDOAC併用での有効性,安全性が報告されている 39.このような血栓症高発症例では血栓塞栓症の発症リスクが軽減し,少しでも抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡を延期することが推奨される.

 

抗血小板薬・抗凝固薬の休薬:単独投与の場合

しかし,一般診療では出血高危険度の内視鏡を血栓塞栓症のリスクを押してまで行わないといけないことがあることも事実であり,その場合は抗血小板薬をアスピリンまたはシロスタゾール単剤とし,継続下での治療を許容した(抗血小板薬と抗凝固薬の併用における出血リスクの軽減を期待して,治療当日の抗血小板薬を休薬することは可能である).ただし,抗血小板薬の変更は内視鏡治療に伴う一時的なものにとどめる.2012年の日本消化器内視鏡学会の抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインではDOACをヘパリン置換することとなっていたが,DOACはヘパリン同様に短時間での薬効減弱・発現となるために,DOAC単独投与時に準じて短期間の中止のみでの対応とした.

[7]本論文内容に関連する著者の利益相反

本ガイドライン作成委員,評価委員の利益相反に関して各委員には下記の内容で申告を求めた.

1.本ガイドラインに関係し,委員個人として何らかの報酬を得た企業・団体について:役員・顧問職(100万円以上),株(100万円以上),特許等使用料(100万円以上),講演料等(50万円以上),原稿料等(50万円以上),研究費(個人名義100万円以上),その他の報酬(100万円以上),委員の所属部門と産業連携活動(治験は除く)を行っている企業・団体について:寄附講座(100万円以上),共同研究・委託料(100万円以上),実施許諾・権利譲渡(100万円以上),奨学寄附金(100万円以上)

加藤元嗣(武田薬品工業,大塚製薬,第一三共,エーザイ,アストラゼネカ,アステラス製薬,アボットジャパン),家子正裕(バイエル薬品,第一三共,日本ベーリンガーインゲルハイム,ブリストル),樋口和秀(武田薬品工業,大塚製薬,第一三共,アストラゼネカ,エーザイ,アステラス製薬,大鵬薬品工業,メディコスヒラタ,EAファーマ,小野薬品工業),藤本一眞(アストラゼネカ,第一三共,エーザイ,武田薬品工業,グレイスケア,メディカルレビュー,富士フイルム,アステラス製薬,旭化成メディカル,EAファーマ,JIMRO).

[8]資金

本ガイドライン作成に関係した費用は,日本消化器内視鏡学会によるものである.

文 献
 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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