日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
国立病院機構 金沢医療センター
責任者:太田 肇  〒920-8650 石川県金沢市下石引町1番1号
加賀谷 尚史
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2017 年 59 巻 7 号 p. 1559-1562

詳細

概要

沿革・特徴など

当院は,明治6(1873)年金沢城址に金沢衛戌病院として創設され,明治32(1899)年,日本三名園である兼六園に隣接する前田藩家老 奥村邸跡に移転した.昭和20(1945)年国立金沢病院となり,平成3(1991)年現病院が完成.平成16(2004)年,国立病院機構金沢医療センターと改組された.標榜診療科は25科で,病床数は一般512床(消化器内科54床),精神42床.地域がん診療連携拠点病院,地域医療支援病院,地域周産期母子医療センターなどに指定され,災害拠点病院として放射線災害に対応する原子力医療センターも併設している.

内視鏡に関しては,胃カメラ草創期から検査に取り組み,昭和35(1960)年,第1回北陸地方会で『胃疾患における胃カメラ像の統計的観察』の発表を行っている.昭和56(1981)年,北陸地区では最も早く日本消化器内視鏡学会指導施設となった.平成16(2004)年に,電子カルテ・内視鏡ファイリングシステムが稼働開始した.現在,内科学会,消化器病学会,内視鏡学会,消化管学会,肝臓学会の指導施設である.

組織

内視鏡室専属の医師はおらず,検査と治療は消化器内科医が担当している.看護師は,外来部門に所属し,内視鏡所属メンバーは固定されているが,他外来部署の応援,時間外救急外来勤務の頻度が多い.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は病棟1階にあり,総面積は165m2である.内視鏡受付兼前処置スペース,検査室(3部屋),洗浄スペース,リカバリースペース(4床),機材スペース,カンファレンスルーム,スタッフ控室が,狭いスペースに配置されている.待合スペースは廊下であり,透視検査は,同じフロアにあるがやや離れた場所にある放射線部で行っている.

検査には,上部・下部で同じ部屋を用いている.午前は主に,上部消化管・胃瘻造設・EVLを中心に行う.午後は,下部消化管,胆道検査・治療,小腸内視鏡,ESDなど治療内視鏡を行っている.処置用の部屋では動画記録が可能で,全室で二酸化炭素送気検査に対応している.人間ドック,検診は行っていない.

前処置,前投薬については,高齢者が多い地域背景のため,上部検査ではルーチンでは,ブスコパンTMは使用せず,必要例でミンクリアTMを用いている.鎮静は,運転予定の無い希望者に施行しているが,若年者にはミダゾラム,高齢者にはセルシンTMを用いている.下部検査前処置は,高齢者の場合には入院での前処置をお勧めし,若年者は在宅で行っている.検査時には,施行医の判断でブスコパンTM,ペンタゾシン,ミダゾラムを用いている.

内視鏡画像は,ファイリングシステムで管理し,院内すべての電子カルテから内視鏡画像の閲覧が可能である.ただし,カプセル内視鏡システムはスタンドアローンであり,レポートPDFの電子カルテへのスキャナー取り込みで対応している.

【現在行っている処置】

EUS-FNA,ESD・EMR・ポリペクトミー(食道・胃・大腸),stent挿入(食道・胃十二指腸・大腸・胆道),APC腫瘍焼灼,PEG造設,EST,EPBD,EPLBD,DBE,CE.

スタッフ

(2017年1月現在)

医   師:指導医3名(うち院長1名),専門医1名,そのほかスタッフ4名,研修医2名

内視鏡技師:Ⅰ種3名

看 護 師:常勤5名(うち3名が技師)

設備・備品

(2017年1月現在)

 

 

実績

(2016年1月~2016年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

医師スタッフは,金沢大学消化器内科から派遣され,院長1名,常勤医3名,レジデント・後期研修医4名である.内視鏡指導医または専門医が検査室に常駐し,指導に当たっている.

初期研修医は,1学年6-8名であり消化器内科研修を1-2カ月選択する研修医が多い.2年次は,さらなる消化器研修を目指し消化器内科を選択する研修医が1-2名である.

初期研修医に対する,上部消化管検査指導は以下の手順で行っている.

① 内視鏡構造・内視鏡操作・内視鏡セッティングの指導

② 内視鏡モデルでの操作練習

③ 上級医検査を,傍で見学

④ 上級医施行後の検査の内視鏡引き抜き操作

⑤ 安全に操作が可能と判断された場合には,鎮静下症例での挿入・観察

下部消化管検査・指導は,見学とモデル練習を主体とするが,消化器内科・外科診療を専門とすることを決めた研修医には,上部と同様の手順で検査研修を行っている.ファイバー操作が滑らかにできる場合には,S状結腸内視鏡での挿入を経験させ,可能な研修医には,10分をめどとした,全大腸内視鏡挿入指導も行っている.

後期研修医には

① 上部消化管内視鏡読影(特にNBI拡大観察)能力の向上

② 下部消化管内視鏡挿入技術の向上

③ 下部消化管内視鏡診断(拡大内視鏡)の向上

④ 下部消化管EMR治療手技の向上

⑤ ESD,ERCP胆道処置,EUS-FNA,DBE,CEなどの各種検査治療

を,上級医と2人コンビで施行している.

新人コメディカルスタッフには,医師からも検査や処置の概要を説明,新しい処置具や手技については術前に確認・シミュレーションをしている.

カンファレンスは,毎朝15分程度のモーニングカンファレンス,週1回の入院症例カンファレンス・内視鏡カンファレンス・外科カンファレンスを行っている.

学会発表・症例報告は,各人年1-2回の学会発表を行うよう,自らが興味を持てる内容でテーマを設定し国際学会での発表も行っている.成果はできる限り,論文化するように指導している.

内視鏡手技に伴う同意説明文書は,学会の指針,他施設の同意説明文書も参考に,図も用いたわかりやすい説明文書を作成することを心掛け,文章を用いて説明している.

合併症が生じた場合には,アクシデント,インシデント報告を,積極的に行うよう指導している.

現状の問題点と今後

現在の病院は,建築から25年を経て老朽化した部分もある施設である.

現行の内視鏡室は,「内視鏡室として設計されていないスペース」を改装使用しているため,業務効率の良い配置にはなっていない.

全体の面積が狭く,検査室は3部屋あるが,上部・下部・緊急内視鏡・治療内視鏡を,いずれも同じブース・検査台で行っている.好ましくない現状と切実に感じているが,現在地での検査室増設は困難であり,検査室の効率良い稼働のやりくりに,日々頭を悩ませている.患者動線となる廊下も狭く,ストレッチャーの移送にしばしば苦労する.検査室・診察室は,カーテン仕切りの構造で,プライバシー保護が十分とはいえない.

鎮静を行った検査数が増加しているが,リカバリーベットが不足している.

洗浄室の換気管理が,医療安全の面から不十分である.

配線,電源管理は,天井配管でないため,床に配線が広がる傾向にあり,処置時には注意を要する.

透視室は,消化器内視鏡専用室ではないため,他診療科の検査処置との間で,時間と場所の奪い合いになり,遅い時間に検査がずれ込む場合も多い.

機器の進歩に対応した機器の更新は,平成27(2015)年末に小腸内視鏡を新規導入したが,従来機器の更新が進んでいない.機器当たりの使用頻度が多くなり,故障修理が頻回になる傾向がある.

人的には,看護師が看護業務以外に,受付事務,洗浄業務,メンテナンスを兼務し,その上,他外来部署への応援,当直勤務をもこなす状況であり,疲弊しがちである.昨今の看護体制の点から,技師資格を所有する看護師も病棟勤務せざるを得ない状況である.ME配置,事務員配置,洗浄員配置を要望し,看護師が本来の看護・介助業務を中心とした業務に専念できるよう,今後希望するところである.

問題点は,複数あるが,現在の設備の中で積極的に新しい検査手技も導入しつつ,地域医療を支えていくべく日々努力している.将来的な病院新築時には,これら問題点の解決を図った設計を目指したいと考えている.

 
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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