日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
順天堂大学医学部附属練馬病院
責任者:川邉正人(内視鏡センター長)  〒177-8521 東京都練馬区高野台3-1-10
川邉 正人
著者情報
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2018 年 60 巻 11 号 p. 2440-2443

詳細

概要

沿革・特徴など

学校法人順天堂は,175有余年前の天保9年(1838年)に学祖・佐藤泰然が江戸薬研堀にオランダ医学塾を開設し,日本最古の西洋医学塾として始まり,現在では6つの基幹病院を設置,運営している.その6番目の病院としてここ練馬病院が,平成17年7月に練馬高野台に,28診療科,病床数400床として開院された.練馬区は,人口約72万人を擁する大きな区であり,その中で練馬病院は,地域医療に貢献できる中核医療施設としての役割を担っている.6つの基幹病院の中では最も早くから電子カルテシステムの導入による最先端の情報システムを整備し,情報のIT化に伴い地域医療連携機関への電子カルテ情報の公開や,スマートホンを利用した自動受付システムや診察時間連絡および予約リマインド機能などの情報伝達システムを構築し運用している.重点医療として救急,小児医療,災害医療,がん診断・治療が中心であるが,難病疾患や慢性疾患にも積極的に取り組んでおり,そのような診療の中に,内視鏡医療は大きくかかわっていると考えられる.順天堂の学是である「仁」,理念である「不断前進」に基づき,「Patient First」を一つの目標にして日々診療を行っている.

組織

内視鏡センターは診療部の一つとして独立しているが専従の医師はおらず,消化器内科医師を中心に消化器外科,呼吸器内科,小児科の医師が検査・治療を担当している.看護師は内視鏡技師資格を有しており,外来センター部門所属ではあるが専従で担当している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

内視鏡センターは病院1階にあり,総面積は300m2である.検査室は上部内視鏡2ブース,下部内視鏡2ブースの4ブースで構成されている.胆膵系検査や気管支鏡検査は隣接する放射線科のX線TV室で行われる.救急部も同フロアーにあり,救急対応が迅速にできるよう配置してあり,緊急対応は24時間できる体制をとっている.内視鏡画像はファイリングシステムで管理されており,院内どこからでも電子カルテより閲覧可能になっている.すべての検査においてCO2送気が可能であり,希望者には鎮静剤の投与も行っている.検査開始時には,タイムアウトによる患者確認を必ず行い,特に侵襲性の高い検査・治療においては目的の確認と各スタッフの役割分担の確認を徹底し,医療事故の回避に努めている.感染対策として,検査時のゴーグル,マスク,手袋,予防着の着用はもちろん,ベッドシーツ(不織布)の単回使用を実施し,開院時から洗浄履歴をつけ管理している.また,洗浄スタッフも不潔操作と清潔操作ごとに手袋,予防着の着脱を徹底して行っている.スコープ洗浄や検査環境の評価のため,培養やATP測定を適宜実施している.

スタッフ

(2018年4月現在)

医   師:指導医3名,専門医5名,その他スタッフ5名

看 護 師:常勤4名(内 内視鏡技師Ⅰ種3名)

事 務 職:3名

そ の 他:1名

設備・備品

(2018年4月現在)

 

 

実績

(2016年4月~2017年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

消化器疾患の診断・治療にあたる消化器内科,外科,小児科,小児外科に属する医師および外部医療機関に内視鏡研修を希望する医師を対象に,消化器内視鏡専門医カリキュラムガイドラインに沿った研修教育を行うこととしている.実地教育の方法としては,内視鏡指導医または専門医の監督のもと,第1段階;検査・治療の見学,機器の構造・取扱いの理解,患者への対応,偶発症対策,検査前処置法の理解,内視鏡の洗浄法の習得,第2段階;検査・治療の介助,検体の取扱いの理解,第3段階;検査の実施,レポート作成,第4段階;多くの症例を経験し止血術やポリープ切除術などの治療の実施としている.近年では,初期研修医のときから実地教育を開始しているが,消化器内科の一般診療を優先させており,2カ月の短いローテーションでは実践的な内視鏡業務に従事するには至らない.少なくとも受け持ち入院患者の検査には立ち合い見学をさせている.また,毎週開催される内視鏡カンファレンスやレクチャーを通して,内視鏡の診断・治療の教育も行っている.内視鏡に興味を持ってもらう意味でもスコープを持たせることもあるが,その観察,操作範囲は指導医または専門医の裁量に任せている.ローテーション終了時には,指導医または専門医のもと,被検者として上部内視鏡を経験させている.本格的なトレーニングは後期研修になってからとなり,トレーニングモデルを使い練習を十分に行った後,指導医または専門医のもとで上下部内視鏡を一通りやらせるようにしている.早期から胆膵系内視鏡検査の研修も受けさせているが,少なくとも上部内視鏡検査が一通りできるようにならないと検査を行うのは難しいため,実際は専門医を取得するレベルくらいになるまでは介助が中心となる.将来的には専門の検査領域を持つことになるであろうが,当病院ではすべての内視鏡検査を一通りできるような体制を作っている.

現状の問題点と今後

まずは多くの施設でも挙げられている人員配置の問題である.内視鏡センター専従の医師はいないため,消化器内科を中心とした医師が一般診療と兼務していることや,大学附属病院の特性上,年度ごとの医師の異動は避けられず,派遣される医師の技量によっては検査枠数の調整が必要になる.また,看護師の数も十分とは言えず,洗浄スタッフ1人ということからもX線TV室を含む検査室5室の全室常時稼働ができず,また内視鏡外来業務ができるように2室の診察室が設置されているが運用もできず,カプセル内視鏡の設置・読影の場所やリカバリーベッドの代用としている状況である.次に患者ニーズへの対応である.当院は地域医療連携の中核でもあるため,検診などの2次精査の診療も応需しているが,その診療は基本的に予約制のため,初診までにかなり時間がかかってしまうことが多い.そこで内視鏡検査は少しでも早く施行できるように心がけている.そのため,1日の検査数を予定件数以上行っていることがほとんどである.年々,鎮静剤希望者が増加してきている中,現在の5台のリカバリーベッドとその監視スタッフもおけない状況では対応に限界がある.また緊急例や侵襲性の高い検査・治療にも対応せねばならず,看護師の時間超過勤務にも繋がってしまうが,「Patient First」の目標のために協力してもらっている現状である.しかし,スタッフの負担を考えると何らかの対策を考えねばならない.今後,病院増床が予定されており,それに伴い内視鏡センター内にX線TV室を作ることになっている.今までの放射線科への導線を考えると大変便利になると思われるが,他のスペースが狭くなり不便さが起きないようレイアウトの変更をうまくやりたいと思う.

 
© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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