2018 年 60 巻 5 号 p. 1132-1134
平塚市は,相模平野の南部に位置し,約4kmの海岸線から西北に広がる扇型をなしている.昭和43年10月平塚市周辺8町村による組合立の中南国保病院を前身として,平塚市民病院が設立された.現在は,25の診療科,病床数410床を有し,地域の基幹病院としての役割を果たしている.平成28年5月には旧病棟の改修と新棟の増築を終え,全面供用を開始した.これによる救急設備の充実に伴い,三次医療施設として,当該医療圏の急性期医療に貢献している.消化器内科は10名の常勤スタッフを有し,消化管,肝臓,胆膵,各領域に対する専門医療を提供している.日本内科学会,日本消化器病学会,日本肝臓学会,日本消化器内視鏡学会,日本消化管学会の関連施設であり,消化器内科,消化器内視鏡の研修体制も充実している.内視鏡室では,病院の理念「安全と信頼」を実現するような診療体制をとりつつ,精力的に内視鏡検査・治療に取り組んでいる.
組織内視鏡室は診療部の一部として位置付けられている.診療は,消化器内科医師,呼吸器内科医師,消化器外科医師が担当している.看護師は看護部に所属する.外来看護師は,一般外来,救急外来,内視鏡室や心カテなどの各検査を交代制で兼務している.数名の看護師は内視鏡技師の資格を持つ.内視鏡の洗浄・メンテナンスは外注の作業員が実施している.
検査室レイアウト

内視鏡室は,1階に位置する.総面積333.57m2,内視鏡検査室3室と透視室1室で運営している.内視鏡システムの配管や吸引は天井内配管であり,整然とした環境で診療を実施している.3室の内,1室を主に治療内視鏡用として使用している.ESDの件数は増加してきており年間120件程度を実施している.また,内視鏡室内部に専用の透視室が設置されており,緊急ERCPにも迅速に対応できる.年間320件程度のERCPを実施している.平成29年3月より,EUSが導入され,同年11月末までに94件を実施している.EUS-FNAも開始され,検査技師がOn-Siteで検体を観察する体制も整った.当院は三次救急病院であり,年間約7,800台の救急搬送がある.潰瘍出血や,静脈瘤破裂,胆道感染症などの緊急処置も数多くこなしている.
(2017年12月現在)
医 師:指導医2名,専門医5名,その他スタッフ7名,研修医など1~2名
内視鏡技師:Ⅰ種3名
看 護 師:常勤16名,非常勤4名
事 務 職:1名
そ の 他:1名
(2017年12月現在)

(2016年4月~2017年3月まで)

当院では毎年8人程度(全体で16人程度)の初期研修医を受け入れている.その中の1-2名が1-2カ月の研修を当科にて行い,指導医の下,消化器内科の疾患全般に対する研鑽を積んでいる.
消化器内科スタッフに関しては,市中病院且つ三次医療施設という当院の性質上,各自の専門領域を持ちつつも,横断的にすべての消化器疾患を受け持ち,診療に当たっている.前述の通り,当院は,日本内科学会,日本消化器病学会,日本肝臓学会,日本消化器内視鏡学会,日本消化管学会の関連施設であり,各専門医の取得をスタッフには奨励している.
当院には,放射線科のIVR専門医が常勤しており,積極的にTACEなどの肝臓治療を行っている.週に1回,消化器内科と放射線科合同で,主に肝臓を中心とした疾患のカンファレンスを行っている.
内視鏡に関しては,2名の指導医,5名の専門医の指導の下,すべてのスタッフに対して汎用的に手技の修練を積ませている.習熟度に応じて,上部消化管内視鏡スクリーニング,下部消化管内視鏡スクリーニング,ERCP,EUS,EUS-FNA,ESDなどの各手技を実践させている.
週に1回,消化器内科内でのカンファレンスを行い,問題症例,教育症例の検討を行っている.また,週に1回,消化器内科,消化器外科,放射線科での合同カンファレンスを行い,手術症例の提示,手術結果のフィードバックを実施している.
コメディカル,特に看護師の不足が大きな問題点である.当院の外来看護師の能力は高く,ほぼすべての人員が,一般外来業務,救急外来業務,内視鏡室業務,心カテなどの各検査業務をこなすことができる.一方で,非常に少ない人数で外来業務のすべてを賄うため,内視鏡室に割ける人数が制限される.1日の業務で,3人,多くても4人の割り当てが限界である.3室ある内視鏡検査室と透視室1室での検査,加えて,前処置,リカバリースペースをカバーするためには,明らかに人員が不足している.事務職の業務範囲の拡大,内視鏡清掃員の業務範囲の拡大,内視鏡技師の応募などで,看護師の負担の軽減を試みており,体制構築を行っている.