日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
国立がん研究センター東病院 内視鏡センター
責任者:矢野友規(消化管内視鏡科科長)  〒277-8577 千葉県柏市柏の葉6-5-1
新村 健介橋本 裕輔依田 雄介堀 圭介大野 康寛今岡 大池松 弘朗矢野 友規
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2018 年 60 巻 6 号 p. 1272-1275

詳細

概要

沿革・特徴など

1962年東京都中央区築地に国立がんセンター病院(現 国立がん研究センター中央病院)が設立され,1992年旧国立柏病院と旧国立療養所松戸病院を統廃合し千葉県柏市に国立がん研究センター東病院が設立された.現在,当院は病床数425床,診療科数は28を数え,地域がん診療連携拠点病院,臨床研究中核病院および特定機能病院の承認を受けている.また,2017年5月,より多くのがん患者に対する最適な医療の提供や質の高い医療を提供すべく次世代外科・内視鏡治療開発センター(NEXT)が開設された.医療技術の側面では世界有数の外科・内視鏡技術と企業やアカデミアが有する最先端の科学技術のマッチングを通じ,日本発の革新的医療機器の創出と迅速な臨床現場への導出を目標としている.

国立がん研究センター東病院3階にあった前内視鏡室はNEXT棟1階に設立された内視鏡センターに移転し,消化管内視鏡科,肝・胆・膵内科,呼吸器内科,頭頸部外科の内視鏡検査・治療に特化した医師が日々診療に従事している.

組織

内視鏡センターでは消化管内視鏡科・肝胆膵内科・呼吸器内科など多くの診療科が検査・治療を行っている.看護師は外来に所属し内視鏡技師の資格を持ったスタッフが中心となり診療をサポートしている.内視鏡の洗浄に関しては業者委託し,センター内に専属の洗浄担当者を配置している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

内視鏡センターの総床面積は2,341m2,検査室7室・治療室3室・新医療機器開発室2室,X-TV透視室が4室の計16室を兼ね備えた国内最大規模の内視鏡センターとなっている.検査室・治療室は基本的に天吊りメインモニターを配置しており,検査者・介助者に見えやすい環境が整っている.更に天吊りメインモニターの横には電子カルテ情報を見られるサブモニターを設置し過去のデータと対比しながら検査できるのも一つの特徴である.また,酸素,二酸化炭素,吸引は中央配管となっており極力無駄なスペースを抑えている.

現在午前中は上部消化管内視鏡検査を6室で,下部消化管内視鏡検査を1室で行っている.午後は上部消化管内視鏡治療を2室で行い,下部消化管内視鏡検査を2-3室,下部消化管内視鏡治療を1室で行っている.NEXT棟2階にあるセミナールームと検査室(1)・(8)・X-TV透視室(3)は回線が接続されており,検査や治療のライブ映像を使ったセミナーが出来る環境になっている.すべての検査室のメインモニター画面は医師室にある大画面モニターと接続されており,医師室でも検査状況がわかるようになっている.ナースステーションでは,看護師リーダーが部屋単位での検査状況を素早く判断できるように各検査室内部の様子をナースステーション用モニター画面に映して状況の把握に努めている.

患者に対する安全面に関して,検査室・治療室のベッドは電動昇降付ストレッチャーになっており,鎮静薬を使用した患者はベッドから降りずにそのままリカバリーエリアへ移動できる.なお,リカバリーエリアは電動昇降付きストレッチャー26台とリクライニングシート8台を有しており,1日70人を超える外来患者数に対応できるよう設計されている.リカバリーエリアには専属の看護師が従事しており,急変に対応できるようにしている.

機器衛生面では内視鏡の清潔・不潔動線が交錯しないように検査室・治療室・スコープ洗浄室が配置されている.スコープ洗浄室は2部屋からなり,洗浄機13台を設置して専任の洗浄スタッフが行っている.洗浄管理システムを導入し洗浄履歴情報なども管理している.スコープ洗浄後は隣接している保管庫で管理しており,現在すべて合わせて136機の内視鏡を保管している.

■ NEXT医療機器開発センター

NEXT医療機器開発センターでは,産学連携拠点としてNEXT棟2階に医療機器開発センターを設置し複数の開発企業やアカデミアが入居している.新規事業の立ち上げから開発機器の上市まで行う国内最先端のインキュベーション施設として,国内の多領域の技術を統合した医療産業を創出し,いち早く臨床現場に届け,日本から海外へ展開することを目標としている.

スタッフ

(2018年1月現在)

医   師:常勤医師6名(指導医3名,専門医5名),がん専門修練医3名,正規レジデント8名,短期レジデント1名(以上消化管内視鏡科のみ)

看 護 師:13名(常勤:9名,非常勤:4名)

内視鏡技師:Ⅰ種10名

臨床検査技師:1名

臨床工学技士:1名

受付事務:4名

内視鏡洗浄スタッフ:11名

設備・備品

(2018年1月現在)

 

 

実績

(2017年1月~12月)

 

 

指導体制,指導方針

当院の研修体制として正規レジデント(3年間),がん専門修練医(2年間),短期レジデント(3カ月から2年間),任意研修医があり,各々に対してスタッフがカウンターパートとして検査・治療,学会発表,論文作成などの指導をする.

消化管内視鏡科においては,まず研修最初の3-4週間はしっかりと内視鏡検査を見学してもらい,当科における検査の流れを勉強してもらう.検査の流れを理解した後,実際にスタッフとマンツーマンで内視鏡検査を行う.内視鏡治療においては介助がしっかりできるようになってから,実際にスタッフの指導のもと治療をしていくこととなる.当然ながら内視鏡検査の技量が足りない場合には胃・大腸モデルを使っての練習や,内視鏡治療の場合にはNEXT棟2階にある模擬手術室で豚の食道や胃を用いての練習を積極的に勧めている.練習の際も一人ではなくスタッフが同伴して技術指導することが多い.知識・経験・技量によって多少の差はあるが,基本的には平等に内視鏡検査および治療が割り振られる.肝胆膵内科においては,肝胆膵内科レジデントは超音波内視鏡検査,ERCP関連手技,EUS interventionまで段階的に個々の技術習得程度に応じてスタッフの指導下での研修を行う.3-4カ月でローテートしている消化管内視鏡科レジデントは超音波内視鏡検査及びERCPの基本技術習得を目的とした研修を行う.

カンファレンスは,月曜日;胃外科合同カンファと大腸外科合同カンファ,肝胆膵内視鏡カンファ,火曜日;消化管内科,食道外科,放射線科との合同カンファ,肝胆膵フィルムカンファ,木曜日;病理カンファ,金曜日;内視鏡科科内カンファ(ESD/EMR症例,外科症例)があり,内視鏡科からの症例提示はレジデントがすべて行っている.学会発表,論文作成については定期的にワークカンファレンスを開催し進捗報告を行っている.

現状の問題点と今後

2017年5月に内視鏡センターとして開設され,面積は3.5倍,部屋数6部屋から16部屋と大幅に拡張した.開設の際に,常勤医師1名,看護師8名,ME1名,検査技師1名,洗浄スタッフ6名は増員されたものの,症例数も順調に増加しており,更にスタッフを増員する必要がある.少しでも無駄な時間を省くために当院では検査や治療のスケジュールを事前に看護師と協議した上で,時間・部屋割りなどを細かく決めている.特に近年では難易度の高いESDに挑戦する機会も増えてきているため,治療が長時間かかると予想される症例がある場合には治療開始時間を早め,通常検査を制限するといった工夫をしている.

今後は従来の通常検査・治療のみならず,NEXTという施設で自らが新しい次元の医療機器を開発していき,がん患者への一助となれば幸いである.

 
© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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