2018 年 60 巻 7 号 p. 1397-1400
当院は1943年に開設された村上外科病院を前身とし,1973年に医学・歯学教育への貢献を目的として岐阜歯科大学へ寄付され,岐阜歯科大学附属村上記念病院として開設された.1984年に岐阜駅から徒歩7分の現在の地に移設,1985年に朝日大学歯学部附属村上記念病院と名称を改めた.一方,大学では2014年に,歯学部等に加えて保健医療学部を開設し,医療系大学としての充実を図ってきた.これにより当院は,同学部看護学科の臨地実習施設の機能も有したことから,朝日大学の特色を社会に発信することを目的として,2018年に朝日大学病院と名称を改め,現在に至る.岐阜市内の中核病院の一つとして地域医療に貢献するのみならず,大学病院として教育や研究にも重点を置いている病院である.
内視鏡室は1984年の開院時より開設されており,2013年に改築工事が行われ現在のレイアウトとなっている.現在,内視鏡室では日々の日常診療に加え,臨床研究として八木信明教授らが開発したLCI (Linked Color Imaging)による胃炎診断や腫瘍性病変の早期発見の研究などが行われている.
組織当院の内視鏡室は,関連する診療部等の間で連携を図り,より高度で専門的な医療を提供していくため,光学診療センターとして独立している.当センターの構成員には,センター長として消化器内科部の診療部長(教授)が兼任し,消化器内科所属の医師,専従の看護師,看護助手及び事務員を配置している.消化器内科の医師が内視鏡検査治療を担当し,看護職員等が専門性の高い高度な介助手技や,きめ細やかな患者対応を行っている.
なお,気管支鏡や膀胱鏡は呼吸器内科や泌尿器科の医師および外来看護師によって行われており,現在は光学診療センターの管轄外であるが,組織改編に伴い今後センター化を進めていく必要がある.
検査室レイアウト

内視鏡室の総面積は256m2であり,内視鏡検査室が3部屋,リカバリー室と洗浄専用室と機材室が1部屋ずつあり,光学診療センターとしてはさらに専用の透視室1部屋と読影室1部屋がある.下部消化管内視鏡検査などのため,内視鏡室に隣接した更衣室が3室,トイレが6室あり,検査において患者の動線が短くなるよう設計されている.セデーション後のためのリカバリー室にはリクライニングチェアが3台あり,スタッフが常駐している.
内視鏡光源システムは7台(オリンパス290シリーズ3台,260シリーズ1台,富士フイルム7000シリーズ1台,4450シリーズ1台,EU-M2000シリーズ1台),洗浄機を4台(OER-3)常備しており,ファイリングシステムは電子カルテ連動のSolemioENDOを使用している.
消化器内科専用の透視室は廊下を挟んだところにあり,ERCP,ステント留置術,小腸内視鏡などのほか,イレウス管挿入やPTCDも行われている.
当院は緊急内視鏡も多く,消化器内科医2名と専属看護師1名がオンコール体制をとっており,あらゆる内視鏡手技が24時間対応可能である.
(2018年4月現在)
医 師:指導医4名,専門医2名,その他スタッフ4名
内視鏡技師:Ⅰ種5名,Ⅱ種1名
看 護 師:常勤7名
事 務 職:2名
そ の 他:1名
(2018年4月現在)

(2016年4月~2017年3月まで)

初期研修医:
当科でのローテーション期間は1カ月と短く,上級医とのマンツーマンでのきめ細やかな指導のもと,内視鏡検査・治療の見学や介助を行っており,また可能な限り緊急内視鏡検査も参加させている.カンファレンスでは内視鏡画像の読影などを指導している.個々の疾患についての理解を深めつつ,内視鏡検査全体の面白さを伝えられるよう留意している.
後期研修医:
3年目では上部消化管内視鏡検査が一人で行えること,各種治療内視鏡手技について十分に理解することを目標とする.上部消化管内視鏡検査が十分にできるようになれば,下部消化管内視鏡検査を引き抜きから始め,年度終了時までに一人で検査の完遂ができるよう目指す.緊急内視鏡にもできる限り参加してもらう.それぞれの習熟度に応じてポリペクトミーやERCP,EUSなどを適宜許可していく.
4年目以降は上部,下部,胆膵各分野を担当する指導医が責任者となり,内視鏡検査・治療全般を自力で完遂することを目標として指導している.
週2回行われるカンファレンスでは内視鏡画像を供覧し,適切な撮影方法や内視鏡画像読影について消化器内科医全員で検討・指導している.また,学会や研究会での発表も積極的に行っている.
1) 検査室の面積が狭く,またリカバリー用のチェア数が少ない.下部消化管内視鏡検査の前処置スペースやトイレ数,更衣室やロッカーなどの患者用アメニティーも十分とは言えない.前処置スペースやトイレ数が十分でないことに関しては,経験のある患者には経口腸管洗浄剤の自宅服用をお願いすることで対処している.
2) 専用の透視室が1部屋しかなく,造影検査や胆膵内視鏡は縦並びの検査となるため業務時間が延長しがちである.
3) 外来部門への薬剤師の介入がないため,検査前の持参薬確認などで看護師に負担がかかっている.当院では大腸ポリープ切除後の入院に備えて下部消化管内視鏡検査を受けるほとんどの患者に内服薬の持参を指示している.その確認に加えて,抗血栓薬や糖尿病薬など事前の休薬指示,あるいは内服続行指示が守れているかなども確認しなければならず負担は大きい.薬剤師による業務分担が望まれるが,その目処は立っていない.
4) 常勤の内視鏡室専属医師がおらず,外来,健診センター,病棟業務,救急対応などを行いながらの検査となることも多く,もっと内視鏡業務だけに専念したいところであるが,現実的には難しい.患者や看護師を待たせることもあり,午後の検査の組み立てには日々苦心している.
5) カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡を常備しているが,現状の症例数は多くない.地域連携を活用し,小腸のスクリーニング・精査をアピールしていきたい.
6) ESDに関しては食道・胃・大腸ともに手技的にも熟達しており,偶発性も少ないが症例数は十分ではない.岐阜市内には多くの基幹病院があり,症例数には限りがある.こちらも地域連携を活用して症例数を増やしていきたい.
7) 色素内視鏡から画像強調内視鏡まで,ルーチン観察における質の高い内視鏡診断はわれわれの内視鏡室の特徴である.今後も新しい知見の発信や,最新の医療を地域に還元するため,内視鏡室チーム一丸となって日々研鑽していきたい.