2018 年 60 巻 7 号 p. 1401-1404
大阪医科大学附属病院での内視鏡検査の歴史は古く,1959年から検査(胃カメラ)導入後,1982年には日本消化器内視鏡学会より消化器内視鏡指導施設に認定され,現在まで継続している.
組織消化器内視鏡センターは,中央診療部門の独立した部署として位置づけられ,消化器内科や消化器外科,小児科の各医師が集まり,年間約8,000件程度の検査が行われている.
検査室レイアウト

①消化器内視鏡センターでは,各科の持ち出しではなくセンター備品として内視鏡機器や処置具を一括管理しており,内視鏡センターでID登録を行った医師は,センター内で検査・治療が出来るようになっている.また,検査においては前処置から検査,結果説明など手順が統一化されており,スタッフステーション内では全検査室の画像がモニター表示されるため,随時上級医への相談体制が整っている.
②最先端のシステムとして,高解像度内視鏡や観察モニター,特殊光内視鏡システム等を5年毎に入れ替えており,常に高い診断精度の検査と最先端の治療を提供している.
③消化器疾患に対する内視鏡を用いた治療
食道,胃,十二指腸,大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD),腹腔鏡局所切除術(LECS),食道・胃静脈瘤治療,肝胆膵疾患に対する内視鏡ドレナージ術,内視鏡的胃瘻造設術(PEG),緊急内視鏡検査など,ほとんどの内視鏡治療に対応している.
④小腸に対するアプローチ
原因不明の消化管出血や腸病変の診断と治療に,ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡(小腸・大腸)による診断と治療を積極的に行っており,近年では自走式カプセル内視鏡の開発に取り組んでおり数年後の実用化を目指している.
⑤胆膵疾患に対する内視鏡を用いた治療
EUS-FNAによる診断精度の向上に努めており,ERCPによる診断能78.0%から,EUS-FNAが98.2%と膵腫瘍の診断能は向上しており,現在は膵腫瘍の診断はEUS-FNAを中心とした診断体系とし早期診断率が増加している.胆道癌の診断においては,従来のERCPによる胆管生検による確定診断,最新型デジタル胆道鏡の導入による表層進展診断を行っている.切除不能悪性胆道閉塞に対しては,従来の手技では困難であった狭窄部位に対しても,超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD)の技術により,胃壁や十二指腸壁側からのアプローチが可能となり,他院からの紹介症例も飛躍的に増加し,患者QOLのために積極的に一期的金属ステントの挿入を行っている.
⑥内視鏡における質の高いチーム医療
専属で消化器内視鏡技師認定を取得した臨床工学技士や看護師が配属しており,それぞれの専門分野を生かしてESDやEMR等の治療介助,内視鏡洗浄消毒の管理,夜間緊急時の対応を行っている.
⑦日本消化器内視鏡学会認定指導施設として,各施設からの見学希望や海外からの留学生も随時受け入れている.
設備の特徴検査室5部屋,内視鏡専用透視室1部屋を備えており,基本的に患者動線と内視鏡や機材が交差しないようなレイアウトとなっており,洗浄室は検査室に隣接することにより,汚染リスクを抑えたスムーズな作業が可能となっている.検査室3は比較的大きめの部屋で,治療用のベッドや高機能の患者監視モニターを備えており,ESDや緊急内視鏡を施行する中心的な部屋となっている.
安全管理として,各検査室の検査画面や風景,処置室,リカバリー室等の常時患者がいる部屋には監視カメラを設置しており,スタッフステーションで常時確認している.
現在の施設は7年前に移転した場所であるが,当初より若干スペースを拡大しており,増加する大腸検査の需要に応えるべく,トイレスペースの拡充やリカバリー室の増設,受付前の廊下スペースに大腸前処置準備室を新設した.また,裏側廊下を挟んで内視鏡専用の透視室を新設しており,増加するERCP検査や緊急時のイレウス管に対応している.
(2017年12月現在)
医 師:指導医10名,専門医37名,その他スタッフ28名,研修医など5名
内視鏡技師:Ⅰ種2名,Ⅱ種1名,その他技師1名
看 護 師:常勤5名
事 務 職:2名
そ の 他:2名
(2018年3月現在)

(2017年1月~2017年12月まで)

大学病院としての役割を果たすために,運用体制および指導体制にも指針を設けている.
消化器内視鏡センター運用体制1.内視鏡センターにおいて検査及び治療を行うにあたって,各医師はセンター運用規約や教育システム,検査予約の運用手順,感染管理対策を理解した上で,事前に内視鏡センターに利用者申請を行うこと.
2.内視鏡学会専門医・指導医:日本消化器内視鏡学会認定の専門医,指導医の資格を有する者は,センター内での指導者として,検査および治療業務に加えて,患者への安全を含めた責任的指導にあたる.
3.検査医:上級医の立ち会い無しで検査を行うことができる医師として,大阪医科大学附属病院内で1年以上の研修あるいは他施設で2年以上の経験が必要.自己診断力で内視鏡検査の遂行,および指導医の指示監督下に治療内視鏡を行う.
4.専攻医(各科入局者):内視鏡センターの教育システムに従って研修を行い,指導医や専門医の責任下において検査を行う.内視鏡レポートの最終確認は必ず指導者の許可が必要.
5.院内研修医:研修医2年目から,引き抜き操作のみ可とする(咽頭挿入は原則不可).
ただし,内視鏡医として研修希望者は,担当患者の承諾があれば上級医の判断により挿入可能とする.
6.センター登録医は毎年4月初旬から自動更新を行うが,過去2年間で検査実績がない場合は一時的に検査登録医を解除する.
消化器内視鏡センター指導方針(抜粋)(1)医の倫理を含めた臨床医としての心構え
・質の高い医療の提供を目指すべく,内視鏡ガイドラインを熟知し正確な診断,治療法を取得する.・患者への安心と信頼感をもたらすべく,親身になった傾聴と検査前後における充分な説明を心掛ける.
・安全な検査治療を念頭に,スムーズな検査や振る舞いを心掛け,技量ともに信頼される内視鏡医を目指す.
・偶発事故の防止につとめ,緊急時の対処,全身管理に関する知識を取得する.
・内視鏡医として,自己本位による検査や技術過信に自惚れせずに,チーム医療として常に上級医や内視鏡メディカルスタッフとの連携に努めること.
(2)内視鏡センター教育システム(3段階の教育コース)
①基礎知識の習得
検査見学(1日目)⇒内視鏡検査の適応,検査予約手順,患者導線,検査運用手順,鎮静剤使用方法,各種機器の取り扱い・感染管理としての洗浄消毒手順を理解すること.
②上部消化管内視鏡検査の習得
初期内視鏡研修は,上部消化管スクリーニング検査時における引き抜き観察(1~2週目10例程度)⇒上部消化管全体の観察⇒3カ月後技量確認(30例以上到達していること)⇒自己アカントにてログイン(所見入力)可能⇒上部消化管内視鏡検査50例程度⇒スムーズな検査(観察・所見入力・患者説明20分以内)⇒上部内視鏡研修半年経過時(50例以上到達後)⇒下部消化管(大腸)内視鏡研修.
③下部消化管内視鏡検査の研修(指導医の同室立会いが必須)
指導医の検査を見学⇒下部用ファントムを用いての模擬検査⇒指導医立ち会いの下,S状結腸からの抜去観察5例⇒全大腸の抜去観察10例⇒指導医判断により挿入開始(初期研修時は10分で交代)⇒挿入経験20例程度での技量を指導医が判断する.
※研修者の大腸挿入は,上級医によるリカバリー困難を防ぐため10分交代を原則とし,1症例あたりの検査時間は40分以内を目安とする(治療症例は原則上級医と交代).
消化器内視鏡センターでは,約5年おきに内視鏡機器の更新や,ほとんどの処置具のディスポ化,最新内視鏡マネージメントシステムによる所見入力,電子カルテ連携による予約管理等,大学病院としてのソフト面では最先端の設備をもった施設環境といえる.
ただ,検査数の増加を目指す中で,各検査室の面積は総じて手狭な環境である.
また,患者サービスとしての前処置やリカバリーのスペースも限界を迎えている.
当院では,開院90周年として最先端の設備を整えた新手術棟が完成しており,消化器内視鏡センターにおいても,定期的に手術室での治療枠が確保できるようになり,内視鏡治療適応拡大病変では,症例に応じて随時,術中内視鏡やLECS等を行っている.
数年後には,総合診療棟の建設が始まる予定であり,大学病院の役割と地域基幹病院としての環境整備の観点から,消化器内視鏡センターも施設規模を拡大して移転する見込みである.