2018 年 60 巻 8 号 p. 1527-1529
昭和2年に町立病院として開設した.以来,地域の基幹病院として医療の向上に取り組み,昭和32年に岩見沢市立総合病院に改称した.消化器内科は平成25年4月に増設され,地域で唯一の消化器内科病床として幅広く患者を受け入れている.
組織外来部門の一部である.内視鏡センターとして独立しているわけではないが,コメディカルスタッフは内視鏡室専任であり,業務に精通している.
消化器内科医による検査・治療の他,呼吸器内科医による気管支内視鏡も行われている.
検査室レイアウト
総面積46.24m2で,内視鏡ブースは2つである.内視鏡室内に透視設備はなく,透視を要する検査時には放射線科の透視室を使用する.リカバリールームもなく,外来患者で鎮静下に内視鏡検査を行った後には内科外来の救急処置室で経過観察を行う.
(2018年3月現在)
医 師:指導医3名(非常勤1名),専門医2名,その他2名,初期研修医1名
内視鏡技師:Ⅰ種2名,Ⅱ種1名
看 護 師:常勤4名
看護助手:1名
事 務 職:1名
(2018年3月現在)
(2017年1月~2017年12月)
北海道大学消化器内科からのローテートで後期研修1年目から大学院1年目までの若手医師が1,2年ずつ勤務することが多い.自分の受け持ち患者の診断・治療は自分が責任を持って行う.適宜上級医に相談して指導を仰ぐほか,週に2回のカンファレンスで検査・画像所見や治療方針のチェックが行われる.未経験の検査や処置については数回見学した後に上級医の立ち合いのもとで可能な範囲で実践する.ESD等の内視鏡治療も同様であるが,個人の技術やその後の進路も様々であり,完遂できるものもいれば未経験のまま当院での勤務を終えるものもいる.止血処置や胆管炎症例に対する減黄処置など臨時内視鏡検査についても積極的に実践してもらい,時間外にはバックアップ体制も整えているが,卒後3年目の後半には一人で対応できるようになる.
別室に内視鏡研修センターを設けており,上部・下部のスコープとそれぞれの練習用モデルを常設している.初期研修医は練習モデルでスコープの取り扱いに慣れるのと並行して,上級医が行う検査・治療の見学を通し診断学を学ぶ.2カ月以内の研修となることが多いが,研修修了時には上部内視鏡については実践できるのが目標である.
消化器症例が多岐に渡り,多くの疾患を幅広く学ぶことができるが,その反面,内視鏡検査やその後の検討時間が少ないのも事実である.内視鏡治療後の検体について切り出しや病理診断,拡大所見との対比などは行えておらず,内視鏡診断の魅力を伝えきれていない.少なくとも消化管を専門とする予定の若手には可能な限り指導していきたい.
ハード面では内視鏡室が狭いという問題点がある.検査ブースが少なく,透視室・リカバリールームは併設できていない.地域の基幹病院であるという特徴から日中,休日・夜間問わず,臨時内視鏡検査の頻度が多い.平日は定期の検査も行われており,臨時検査により予定検査・治療が時間外にずれこむこともある.特に透視室についてはERCPやイレウス管留置などの臨時内視鏡検査の他,外科での処置とも重複し混雑することが多い.また放射線科の透視室を使用しているため,検査の度に光源・スコープなどを運搬しており,看護師・助手の負担は大きい.リカバリールームについても同様で,前述のように内科外来の救急処置室を利用しているため,検査後に搬送する必要があり,外来混雑時には検査が停滞することもある.検査ブースや透視室の増設,リカバリールームの新設が望まれるが,院内に現状以上の広さを確保できるスペースはなく,改装・移転は難しい.患者,家族やコメディカルスタッフの協力・理解もあり現在の環境の中で試行錯誤しているが,検査件数は増加傾向にあり,病院の改築に期待する.