日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡室の紹介
鳥取県立中央病院 内視鏡センター
責任者:柳谷淳志(内視鏡室長)  〒680-0901 鳥取県鳥取市江津730
柳谷 淳志
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 61 巻 11 号 p. 2534-2537

詳細

概要

沿革・特徴など

1891年(明治24年)に私立因幡病院として創設,その後日本医療団のもと整備統合,1949年(昭和24年)2月に鳥取県に移管し,鳥取県立中央病院となった.1975年(昭和50年)鳥取市江津に移転,40年経過し老朽化,診療拡充で手狭になった病院を2018年(平成30年)12月に現在地に建て替え,病床数も431床から518床に新築増床した.この際内視鏡室の面積も広くなり内視鏡センターとなった.

鳥取県病院局が運営する病院で,鳥取東部の基幹病院として鳥取県東部のみならず,兵庫県北部の医療圏をカバーしている.

組織

業務は消化器内科を中心に,総合内科の協力も受け診療,教育,運営を行っている.

検査室レイアウト

内視鏡センター総面積 500m2

 

 

当内視鏡センターの特徴

手狭であった旧内視鏡室は新病院建て替えで総面積500平方メートルに拡大,名称も新たに内視鏡センターとなった.患者の待合,上部・下部消化管内視鏡検査の前処置室は広めに設計,壁も一部スリガラスにすることで解放感を出し,検査前の緊張が和らぐよう配慮した.特にトイレの数は前処置に個室7室を配置し,トイレは男女別,オストメイト対応の多目的トイレを整備,中待合,リカバリー室を含めると患者エリアが内視鏡センターの半分を占める,患者に配慮した設計となっている.内視鏡検査室についても5室に増設,今回内視鏡センターに併設する形で消化器内視鏡専用のX線検査室を1室設けた.検査室は内視鏡の治療が行いやすいよう広めの検査室(治療室)を2室とした.治療内視鏡の件数が増える中,予定の内視鏡処置(ESDなど)と平行して,他の内視鏡処置が行えるように設計,また救急外来,放射線検査(CT室など)と同じフロアに内視鏡センターを配置することで,患者搬送もスムーズになり,短時間で緊急内視鏡を行えるようになった.また旧病院では気管支鏡検査が同じX線検査室で行われ,予定検査が多い日はERCPが時間外からの開始となる場合や緊急ERCP対応が難しい状況もあったが,消化器内視鏡専用のX線検査室を併設したことで迅速な対応を可能とした.装置もCアーム式X線透視台,天吊り型の可動式モニターを整備し検査が行いやすくなっただけでなく,X線検査室が併設していることはスタッフ動線も短くなり検査準備も行いやすくなった.検査室は横一列に並べて配置し,使用した内視鏡を後方の洗浄室に運び込み,洗浄後のスコープを保管庫,別ルートで個々検査室へ運び出す,スコープの動線にも配慮した設計となっている.各検査室の吸引,酸素,CO2配管は全室天井からの配管,電源も天井のコンセントからの供給とし,足回りにコードのない,使いやすい検査室とした.また器材室を3室設けたことで,器材の適所保管,内視鏡処置具の適所収納が可能となり,仕事の効率もよくなった.各検査室の内視鏡検査,治療の進行状態を確認するために室内映像,内視鏡画像が映し出せる大型モニターをカンファレンス室に設置し,教育,指導に活用できるようにした.

当院は鳥取東部の基幹病院であり消化管,胆膵疾患全般の治療内視鏡を行っており,特にESDの内視鏡治療は早期より導入し,下部消化管ESD件数は増加傾向である.また外科との合同手術(LECS),耳鼻科との合同手術(咽頭表在癌に対するESD)など低侵襲内視鏡治療を手術室で行う体制も構築している.また当院で通院,治療する炎症性腸疾患の患者数も増加しており,鳥取東部の炎症性腸疾患患者の受け皿となっている.

スタッフ

(2019年4月1日現在)

医   師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医2名,後期研修医など3名

内視鏡技師:Ⅰ種3名

看 護 師:2名

事 務 職:1名

そ の 他:洗浄スタッフ2名

設備・備品

(2019年4月1日現在)

 

 

実績

(2018年4月~2019年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

初期研修医

当院は昭和55年には臨床研修指定病院の指定を受け,多くの初期研修医の教育実績を有する.初期研修の2年間に消化器内科を2-3カ月間ローテートし,その際指導医と一緒に消化器疾患全般の患者を受け持つ.内視鏡に関してはまず指導医の内視鏡検査,治療を見学し,内視鏡検査の手技,治療内視鏡の適応についてマンツーマンの指導を受ける.また研修医の希望進路や内視鏡の習得状況を確認しながら,まずトレーニングモデルで内視鏡の操作指導を受け,場合によっては指導医と共に実際に患者の検査も受け持つ.将来的に内視鏡習得が必須の研修医(自治医科大学出身,地域枠研修医)が2年目のローテートに消化器内科を選択した場合は,地域の病院,診療所で即戦力となれるように上部消化管内視鏡検査を一人で検査,診断可能となるように指導,教育する.

後期研修医

当院では鳥取大学消化器内科入局1,2年目(卒後3,4年目)の消化器内科専修医の指導,教育を行っている.週2回の午前の内視鏡検査を他の内視鏡検査医と同様行うことで多くの内視鏡検査を経験し,また特殊検査,特殊治療も内視鏡専門医,指導医のサポートのもと行う.具体的には大腸EMR,ERCPや緊急内視鏡の内視鏡止血術を上級医と一緒に経験することで内視鏡専門医を取得するための技術を身に着ける.さらに消化器内科カンファレンス,消化器外科と合同の消化器癌カンファレンスも週1回行い,症例の共有,術前症例検討を行っている.また近隣の医療機関に勤務する医師の内視鏡研修も受け入れており,地域の内視鏡診療の向上に貢献している.

現状の問題点と今後

旧病院ではX線検査室の使用制限に加え,スタッフのマンパワー不足もあり小腸内視鏡検査について本格的な導入を見送っていたが,新病院となり,検査室も一新,小腸内視鏡も常備した.後期研修医の受け入れもする中でスタッフの人数も少し増えたが,本格的な小腸内視鏡検査運用には時間と経験が必要と考える.また小腸内視鏡を使用できる体制となり,地域性もあり術後総胆管結石などの緊急の術後ERCPの症例の増加が予想される.ただスタッフ,特に看護師が病院全体で不足しており,一部の病棟は新病院時にも稼働できておらず,内視鏡センターでもその影響を受けている.検査室を今までの3室から5室に増やし,新病院での内視鏡検査の増加に対応可能としたが,5室目は稼働できない.実際には研修医のトレーニング室となっており,その運用の目途は立っていない.これは病院全体の問題,地域の問題でもあるが,早急な看護師増員の対策が必要である.

また日々増加する内視鏡検査を4室で行っているが,その実態は総合内科の医師の協力と,後期研修医の増加で内視鏡検査をこなしている.今後も消化器内科医の増員と,それに加え特殊検査,特殊治療の可能な消化器内視鏡医の育成,補充も必要で,それが鳥取県東部の消化器内視鏡診療の安定的な提供につながると考える.

 
© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
feedback
Top