日本消化器内視鏡学会雑誌
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新しい手技・処置具・機器
コンドーム型尿道カテーテルを用い,巨大義歯に対し内視鏡的異物除去に成功した2例(動画付き)
辻 顕介 小澤 俊一郎伊東 文生
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キーワード: endoscopic removal, denture
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電子付録

2019 年 61 巻 12 号 p. 2624-2626

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Ⅰ 緒  言

内視鏡的異物除去術は外科手術を回避できるため有用性が高い.われわれは病院内に常備されている男性用コンドーム型尿道カテーテルを用いて,既報の方法では除去が困難であったと考えられる鋭利な巨大異物を内視鏡的に除去した2例を経験したため文献的考察を加え報告する.

Ⅱ 症  例

症例1.既往歴にアルツハイマー型認知症のある60歳女性.本人より義歯を飲み込んでしまったとの訴えあり,当院に紹介となった.腹部単純CTにて胃内に義歯と思われる5cm大の高吸収域を呈する構造物を認めたため,緊急で内視鏡的異物除去術を行う方針となった.最大外径18.1mmの大口フード(ディスポーザブル先端アタッチメント)をGIF 260J(オリンパス社)の先端に装着して挿入し把持鉗子やスネア鉗子にて義歯の鋭利なブリッジ部分をフード内に収まるように回収を試みた.しかしフード内に義歯を収めることができず抜去時に粘膜損傷や食道穿孔のリスクが高く異物除去は不可能であった.そこで,内視鏡室に常備してある男性用コンドーム型尿道カテーテルを同スコープの先端に装着し(電子動画1),再度異物除去を試みた(Figure 1).オーバーチューブ挿入下にて,ラテックス部分を折りたたむような形で挿入し,把持鉗子を用いて義歯を把持した.ブリッジ部分をカテーテル内に収めた後にスネア鉗子(33mmキャプチベータ)で義歯を掴み直し(Figure 1),オーバーチューブごとスコープを抜去し食道や胃に粘膜損傷なく義歯を愛護的に回収することに成功した(Figure 2).

電子動画1

Figure 1 

義歯の鋭利なブリッジ部分(矢印)がカテーテル内に収納された.

Figure 2 

症例1で除去した義歯の全体像.

鋭利な金属ブリッジがついている(矢印).

症例2.アルツハイマー型認知症が既往にある89歳女性.昼食後に義歯がないことに施設職員が気付き当院受診した.当院にて施行した腹部単純CTで胃内に5cm大の義歯を認めたため,内視鏡的異物除去を行った.内視鏡にて胃内に義歯を確認したが,サイズは大きく,義歯には2カ所の鋭利なブリッジがついていたため,既存のデバイスでは異物除去は困難と判断した.症例1と同様に男性用コンドーム型尿道カテーテルをスコープの先端に装着しオーバーチューブ留置下にてスコープを再挿入した.把持鉗子にて義歯のブリッジ部分を把持し,カテーテル内にもう片方のブリッジが収まっていることを確認し,オーバーチューブごとスコープを抜去し義歯に成功した(Figure 3).

Figure 3 

症例2で除去した義歯の全体像.

金属ブリッジが2カ所ついている(矢印).

Ⅲ 考  察

2症例はいずれも既往に認知症のある症例であり,高齢化社会にある本邦では異物誤飲の頻度は増加することが予想される.内視鏡的異物除去術の適応は消化管壁を損傷する可能性のあるもの,腸閉塞をきたす可能性があるもの,毒性のある内容物を含有されるものとされており 1,異物の形状や大きさによって摘出術の方法に工夫が必要である.また,異物を除去する際に食道穿孔をきたしたとの報告もあり 2,サイズの大きい異物の場合には適切なデバイスの選択が必要となる.医学中央雑誌にて「消化管異物」「内視鏡」をキーワードに検索したところ,巨大義歯に対して独自のデバイスを用いて内視鏡的異物除去に成功した2例の報告が確認された 3),4.円錐型フードを用いた異物除去法は挿入時に視野を妨げないといった特徴があり,シリコン製の透明スカートはフード部分が大きいためサイズの大きい異物の除去に適しているといった特徴があった.しかしながら,いずれのデバイスもメーカーの試作品であったり,自作のものであったりと,事前に用意しておく必要があり,その汎用性は高くはない.その点では,本症例においてわれわれが使用した男性用コンドーム型尿道カテーテルは,病院内に常備されているものでありこれまでの報告と比較し汎用性に優れている.素材はもともと人体に使用する目的のラテックス性であり安全性も高い.消化器内視鏡ハンドブック第2版には,内視鏡的消化管異物摘出術において,粘膜損傷防止機器としてゴム手袋で簡易にフードを作成する文献が引用されているが 5,ゴム手袋と比較し男性用コンドーム型尿道カテーテルは異物を収めるドーム状の部分に適度の弾力があり硬く鋭利な物質から胃食道粘膜を保護することができ,形状も保たれているため内視鏡での視認性は良好でありサイズの大きい異物もカテーテル内に収めやすい.以上の特徴からこれまで断念した消化管異物も本方法により内視鏡的に除去できる可能性が高くなると考えられた.

Ⅳ 結  語

われわれが考案した男性用コンドーム型尿道カテーテルを用いた内視鏡的異物除去法は,病院内の常備品である製品を使用するため汎用性に優れており過去に報告されている方法で除去できなかった異物も安全に除去できる可能性が高いと考えられた.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

文 献
 
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