日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
SUBARU健康保険組合 太田記念病院 内視鏡センター
責任者:大竹陽介(消化器内科主任部長,兼内視鏡センター長)  〒373-8585 群馬県太田市大島町455番地1
大竹 陽介
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2019 年 61 巻 3 号 p. 319-321

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概要

沿革・特徴など

太田記念病院は大戦の災禍にあった太田および近郊の人々のため,医療奉仕を旗じるしに昭和21年1月に太田病院として開設された現株式会社SUBARUの健康保険組合病院である.開院時は入院患者収容定員68名,従業員34名の病院であった.昭和40年に総合太田病院となり,平成24年6月には新築移転に伴い太田記念病院と名称を変更した.現在総病床数404床(一般病床400床,感染症病床4床),職員数969名(平成30年7月1日現在)の医療機関であり,救命救急センターを有する三次救急病院として,また地域災害拠点病院,地域周産期母子医療センター,地域医療支援病院として地域に根差した病院を目指し活動している.

組織

内視鏡センターは専属の医師はおらず,内視鏡診療は消化器内科医師,呼吸器内科医師,消化器外科医師が担当している.また健康管理センターの医師が行う健診業務としての上部消化管内視鏡も行っている.センターの位置付けは以前は外来診療部門の一部であったが平成30年度より独立し,看護師は全員内視鏡センター所属となり専属の師長が配属されている.内視鏡洗浄業務は業者委託とし常時1名が配置され看護師が適宜サポートしている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

内視鏡センターは1階にあり,放射線部門と隣接している.検査室1および2は午前中は健診内視鏡に使用され,カンファレンス室を挟んで検査室3,4,5が主に病院での内視鏡診療に使用されている.午後は大腸内視鏡検査の進捗により適宜検査室2も使用されている.出入り口および待合室は健診用と病院用とに分かれており健診受診者と来院患者が遭遇しないよう配慮されている.カンファレンス室内のモニター画面は各検査室のモニターと接続されており検査状況が把握できる.検査室5は主に内視鏡治療に使用されESDや緊急止血などが行われる.またEUSおよびEUS-FNAは検査室4で行われ,検査室4および5での検査・治療は常時録画可能である.センター内のX-TV透視室は1室のみであるが,必要であれば放射線部門内の透視室も使用している.リカバリールームはやや狭小でベッドは2床のみの設置であるが,前処置室の椅子はすべてリクライニングシートであり適宜使用している.尚,内視鏡システムは救命救急センター,ICU,手術室にも常備されており,緊急止血や異物除去等の処置は内視鏡センターへの患者搬送なしで救命救急センターでも施行可能である.また月に一度,内視鏡センター運営委員会を開催し,インシデント事例やアクシデント事例の検証および当面の諸問題についての話し合いを行っている.

スタッフ

(2018年7月現在)

医   師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医6名,その他スタッフ11名,研修医など4名

内視鏡技師:Ⅰ種10名

看 護 師:常勤10名,非常勤3名

事 務 職:1名

そ の 他:1名

設備・備品

(2018年7月現在)

 

 

実績

(2017年4月~2018年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では初期研修医は毎年5-6名おり,ほぼ全員が2カ月間消化器内科をローテートする.日中は内視鏡検査・治療を見学および介助し,空いた時間で上級医の指導のもと上部消化管内視鏡モデルによる基本操作の練習を行う.またカンファレンスでは良悪性を問わず消化管病変読影の基礎を学ぶ.実臨床においては上級医の監督下で,まずは鎮静下の症例から上部消化管内視鏡を始め,熟練度に応じて非鎮静の症例にも行っている.また止血などの緊急内視鏡や胃瘻造設などの観血的手技にも積極的に介助を担当している.ESDの介助は初期研修医と経験豊富な看護師の組み合わせで行っている.ERCPの介助や大腸内視鏡検査,あるいは止血などの緊急内視鏡は後期研修医となってから指導している.当院では内視鏡検査・治療が豊富であるが研修医は比較的少なく,経験を積むには良い環境のようである.しかしながら決して技術重視とならぬよう診断や治療ストラテジーの教育も同時に行っており,さらには学会や研究会へ積極的に参加し,可能な限り発表の機会をもうけている.当院消化器内科は診療体制が整ってからまだ日が浅く,後期研修以後あるいは中堅医師の今後のレベルアップをいかにするかが今後の課題である.

現状の問題点と今後

光源やスコープは充足しつつあるものの,年々内視鏡検査件数は増加傾向であり,特に透視下治療内視鏡の件数増加が著しいため,X-TV透視室が1室ではERCP関連手技,バルーン内視鏡,気管支鏡を十分に行えない状況となっている.またEUS件数も増加傾向であり鎮静剤使用症例に対するリカバリールームの拡張・整備が望まれる.大腸内視鏡検査も増加傾向でありながら施行医師不足により検査待ち期間が遷延しており,後期研修医を教育しつつも増員が望まれる.平成30年度から独立した部門となったが,洗浄スタッフも含めて人員不足は変わらず課題の一つであり,特に緊急内視鏡施行時に対応に苦慮することが多々ある.地域のメガセンターを目指して,増加傾向の検査・治療をより安全に行うためソフト面・ハード面ともに拡張・増員が必要不可欠であると考えられる.

 
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