2019 年 61 巻 4 号 p. 430-432
長野赤十字病院は1904年に日本赤十字社長野支部病院として発足し,1943年に長野赤十字病院と改称された.1983年に長野市北石堂町から現在の長野市若里に移転開業し現在に至っている.当院は病床数680床を有する長野県北信地域最大の病院で,DPC特定病院群,地域医療支援病院,基幹・地域災害拠点病院など多数の指定を受けており,特に救急医療(救命救急センター),がん診療(地域がん診療連携拠点病院),周産期母子医療(周産期母子医療センター)に力を入れている.内視鏡部門はがん診療・救急医療の両者に大きく係わるところであり,ともに地域の拠点となっている当院の内視鏡部門は非常に多忙な状況が慢性化している.
当院は老朽化,狭隘化という問題を抱えているが,内視鏡センターは2011年に従来の内視鏡室を拡張して発足し,検査数の増加につながっている.また2025年には新病院の建設が着工される予定となっている.
組織外来部門の一つとして位置づけられている.専属の医師はおらず,消化器内科,呼吸器内科の医師が業務を担当している.看護師は外来部門の所属であるが,内視鏡センターの専従である.この他洗浄担当の看護助手とクラークが業務を行っている.
検査室レイアウト

内視鏡室は外来の1階に位置しており,総面積は約308m2,センター内に検査室5室を有している.この他少し離れた中央放射線部のX線テレビ室の1室も内視鏡専用で使用している.リカバリールームは内科外来の処置室に配置されており,検査後の患者管理を行っている.内視鏡室ではCO2送気の配管を全室に備えており患者に苦痛を与えない検査を心掛けている.ESD,ERCP,EUS,EUS-FNAの件数は増加傾向であり,EUS-FNAにおいてはOn-siteによる迅速細胞診を早期から取り入れている.緊急処置においても救急救命室スタッフと連携し迅速に対応できる体制を整えている.
(2018年10月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医7名,その他スタッフ5名,研修医など2名
内視鏡技師:Ⅰ種3名
看 護 師:常勤7名
事 務 職:1名
そ の 他:看護助手2名
(2018年10月現在)

(2017年1月~2017年12月まで)

当院では毎年13~15名の初期研修医(全体で30名弱)を採用しており,2名前後の初期研修医と1~2名の後期研修医が常時消化器内科で研修を行っている.内視鏡研修は指導医,専門医の指導の下で行われており,初期研修医は最初に上部消化管モデルで十分なトレーニングを受けた後に実際の症例で研修を行っている.後期研修医については上部消化管内視鏡の経験を十分積んでいくとともに,下部消化管モデルで内視鏡操作法を習得した後で大腸内視鏡検査をスタートしている.生検,止血術,EMRは指導医・専門医と密な連携をとりながら,指導のもとで行い,ESD,ERCP,超音波内視鏡検査においてはまず見学から始め,その後助手として参加するようにしている.また,看護師とともに患者の介助,助手の手技を学ぶことも重要と考えている.内視鏡センター内では毎週内視鏡カンファレンスを行い,自ら検査を行った症例に対してフィードバックをするとともに生検組織の確認を行っている.また,毎月病理カンファレンスを病理医,外科医とともに行っており,生検組織のみならず手術検体についても検討しフィードバックを心掛けている.看護師との合同カンファレンスも定期的に開催しており,内視鏡センターの問題点と解決策を相談し,患者に負担の少なく,よりよい検査,処置体制を構築できるように努めている.研究会,学会への参加や発表も積極的に行うだけでなく,一つ一つの症例を大切に扱い,学ぶことを心掛け,研究会議も定期的に開催しより多くの論文を作成できるように指導している.
上述のように当院内視鏡センターは狭隘化した病院の中で既存の外来診察室を改修して拡張したものであり,結果的にセンターの真ん中を廊下が通る形になっている他,X線検査室やリカバリールームも離れているため,実際にはセンターとしての一体的な運営は難しいのが現状である.特にリカバリールームが離れているため,鎮静をする患者の増加に苦慮しており,鎮静方法の変更(プロポフォールによる鎮静の導入)なども検討中である.新病院(2025年着工予定)においては現状の問題点がすべて解消できることを願っている.また内視鏡センターのスタッフ充足は今後の重要な課題である.内視鏡業務の件数は増加傾向であり現状でも内視鏡センターのスタッフの人員は十分とは言えない.このため医師,看護師の確保のみならず,臨床工学士のセンター専従勤務も現在検討中である.