日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
米国における全層縫合の現状と今後の展望・課題
相原 弘之
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 61 巻 5 号 p. 1095-1108

詳細
抄録

外科領域における縫合(suturing)は基本的で必須な手技であるものの,軟性内視鏡領域での縫合技術開発の困難さからわが国では現在,日常診療で使用可能な内視鏡的縫合デバイスが存在しない.米国ではOverStitchおよびIncisionless Operating Platformが現在使用可能であり医原性消化管穿孔の閉鎖,内視鏡的全層切除術,難治性慢性消化管瘻孔の閉鎖,ステントの留置固定,そして内視鏡的肥満治療など非常に多岐にわたり活用されており,従来外科治療の適応であった様々な疾患に対しても軟性内視鏡手術(flexible endoscopic surgery)により治療を完遂できるようになってきている.内視鏡的縫合術(endoscopic suturing)は軟性内視鏡手術の基本手技であり,上記の内視鏡治療を施行する上で必須な手技である.軟性内視鏡先進国のわが国で,このような内視鏡的縫合デバイスが使用できる日がすぐに到来し,さらに新しい先進的な治療技術が生まれることを期待したい.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top